コンテンツへスキップ

人類思想の流れと先進国革命

加藤成一氏の5/20付けアゴラ記事「なぜ『先進国革命』は起こらないのか?」へのコメントです。


先進国が共産主義化しないのは、誰かが邪魔しているからだ、とはまたずいぶんノーテンキな話ですね。そもそも、資本主義から共産主義へという「歴史的必然性」が否定されてしまっております。1991年の12月に、共産主義の大本山でありましたソヴィエト連邦は正式に崩壊したのですね。共産主義は失敗する、それが「現実の歴史」というものです。

この共産主義の破綻は、プラトンからカントへという、人類思想の大きな変化に対応しているように思われます。その初期の表れは、1968年の怒れる若者たちであり、産油国による石油メジャーからの原油価格支配権の奪回であり、米国のベトナム戦争における事実上の敗戦であり、電機・自動車といった先端工業分野における日本の大勝利だったのですね。

1979年ごろには、この流れは相当に明確になっていた。つまり、石油ショックが起こり、米国はベトナムから撤退し、日本は集中豪雨的輸出をおこなっていた。ジャン・フランソワ・リオタールが「ポストモダンの条件」を出版して「ポストモダン思想」に火をつけたのが1979年のことでした。

1980年初頭に発表されたABBAのHappy New Yearは、新しい10年紀を前にして「1989年の終わりに世界はどうなっているだろう」と歌うのですが、まさにその1989年の11月にベルリンの壁が崩壊する。1980年当時には考えられもしなかったことが起こってしまった。まったく、涙なくして聞けない歌ではあります。https://www.youtube.com/watch?v=CcddhcuyywQ (歌詞

1970年代に大きな変化が始まり、1980年代にこの動きが終りまで行く。1990年代は、情報革命と、新しい組織革命が起こり、人類は新しい時代に向けて進むかに見えたのですが、2000年代には、泥沼的対立の時代に戻ってしまう。とはいえ、人類の進んでいる方向は確かだと思いますよ。だから共産主義というアナクロ思想は、博物館の中に飾っておくのが妥当というものでしょう。

1 thoughts on “人類思想の流れと先進国革命

コメントは停止中です。