アゴラ編集部の5/25付けアゴラ記事「『高齢者の定義』変更で少子高齢化社会を乗り切れるか!?」へのコメントです。
本人の意欲能力にかかわりなく、一定年齢で退職させる制度がある以上、退職者に対する何らかの経済的補償措置は必要でしょう。年金問題の最終的な解決には、諸外国ではさほど珍しくない、年齢による就労差別を禁止することがまず必要になるはずです。
この場合の問題は、高賃金の高齢者がいつまでも会社のポスト居座ってしまうことなのですが、これは、終身雇用制度と年功賃金制度という我が国の雇用制度の問題です。終身雇用制度の方は、企業側に金銭解雇を認めることで、いわゆる「働かないおじさん」のような問題も解決されるはず。高給に見合う有能な人なら、いつまで居座ってもらっても、問題ないはずですよね。
一方、年功賃金制度は、若年時の給与をなした仕事以下に抑えて、その分を後払いする制度で、社員にしてみれば中途退職が損になる。これって、昔の遊女の借金のような、足抜け防止の制度なのですね。これはそもそも、賃金の即時払いの原則にも反します。定年退職を有利に、中途退職を不利に扱う退職金制度も同じなのですね。こんな制度は、どちらも法律で禁止しなくてはいけません。
それぞれが能力に見合った職場に移れるようにし、会社サイドもこれを積極的に応援するようにすれば、適材適所、時代の変化に応じて必要とされる職場にそれぞれに適した能力の人が移るようになるでしょう。この手の効率化は、国全体の経済的豊かさの大前提のはず。逆に現状のような非効率なやり方では、お金が足りなくなるのも当たり前です。
あと、もう一つ大事な点は、年金はそれぞれが拠出している部分があるということ。この分は、前の世代のために使われてしまったといっても、次の世代に拠出金はなかったこととはいいがたい。拠出部分は保証し、税金からの補助分を削減し、この部分は、負の所得税など、国民一般を対象とする福祉制度の中で対応することが肝要ではないかと思います。それが公正さ(フェアネス)を確保する道ではないでしょうか。
さべつ