池田信夫氏の6/12付けアゴラ記事「選択的夫婦別姓の何が問題なんですか?」へのコメントです。
夫婦同姓制の問題ですが、途中で名前を変えてしまうと、外部から見たキャリアがそこで途絶えてしまう、という問題があるのですね。
これは、海外の論文誌に発表したり、外国出願特許の発明者になるなど、国際的に活躍している研究者で特に問題になります。その人の業績を知るため、氏名で文献検索をした際に、多くの業績が漏れてしまうのですね。
一方、旧姓を通り名とした場合の問題は、学会などの主催者側でホテルを予約した際に問題になる。海外のホテルでは、パスポートの提示を求められるのですが、そこに書かれた名前が予約した際の氏名と異なると、最悪の場合、泊めてもらえない恐れだってあるのですね。
これを避けるためには、我が国には夫婦同姓制があって云々ということを学会主催者側に伝え、パスポートに書かれた氏名でホテルを予約する必要があるのですが、このようなやり方は、国際会議の主催者に余計な手間をかけるだけでなく、日本に対する国際的評価を悪化させる恐れがあるのですね。と、いいますのは、氏名権というのが基本的人権の一つと考えられており、外部から氏名の変更を強制することは人権侵害と考えられているからなのですね。
こんなことが政府の制度として今なお行われているということは、日本という国の人権意識の低さを象徴しており、そのような国家に国際的に重要な決定に関わらせるわけにはいかない、と思われてしまいます。報道の自由や司法の問題と併せてこのような問題もあることを世界にアピールすることは、我が国の国益を大いに損ねる行為であると言わざるを得ないでしょう。この問題は、他の問題を含めて、早急に対処しなくてはいけません。
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