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日本は独自であるべき水素戦略

松田智氏の6/22付けアゴラ記事「水素先進国が直面する種々の現実的困難と対応 vs. 日本の脳天気」へのコメントです。


現在のEU域内の水素消費量は年間約800万トンであるが、その98%が天然ガス由来であって、これではCO2削減に役立たないので、早急にクリーン(=グリーン:再エネ電力由来)水素への転換が求められているとされる。

CO2削減を可能とする水素には、「グリーン水素」以外に「ブルー水素」と呼ばれるものがあります。これは、たとえば天然ガスから水素を製造した際に、副生するCO2を回収処理したものを言います。回収したCO2を、枯渇したガス田に再注入するCCSという技術があり、これをガス田の近くでやるなら、枯渇しつつある隣接天然ガス田の産出能力を回復するEGR(Enhanced Gas Recovery:ガス増進回収)として積極的に使用される場合もあります。

このプロセスは、欧米のように天然ガスのパイプライン輸送が行われているような地域では、ガスがメタンから水素に代わるだけで、水素脆性や漏れやすさの問題はあるものの、対応はさほど困難ではない一方、日本のように液化天然ガスとして輸送していた場合には、水素の液化が困難であることから、難易度は高いものとなります。

もちろん、水素の液化は不可能ではないし、アンモニアにして輸送するという手もある。しかし、日本でこれを行う場合はパイプラインで行う諸国に対してコスト高となることは避けられず、国策としてこれを推進することは戦略的に疑問があります。

一方、エネルギー資源の枯渇、ないし価格の高騰に備えるという観点で水素エネルギーの利用技術を作り上げておくことは大いに意味がある。これは、将来の人類は、風力や太陽光以外に、原子力や核融合というエネルギー源にも頼らざるを得ず、需給バランス調整を電池で行うことはコスト面で厳しいことから、水素の形で蓄え、これを利用することになろうというものです。この場合、水素の形で利用する以外に、回収したCO2と反応させてメタンの形で利用してもよい。日本が目指すべきは、こちらの技術であり、その前提としての核融合の実用化ではないか、と私は思うのですが。

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