コンテンツへスキップ

人事制度改革を妨げるのは何?

城繁幸氏の6/28付けアゴラ記事「グリコってなぜ専門性の高い人材に500万ぽっちしか出さないの?と思ったときに読む話」へのコメントです。


たとえその人に定年まで1,500万円払う余裕が十分にあったとしても、会社内には「大卒35歳なら基本給〇〇万円~〇〇万円」みたいなレンジが既に存在し、みんな黙々とそれに従って生きているわけですよ。

それを無視して一人にだけ外の市場価格で報酬を払うというのは、まず普通の会社には出来ない話でしょう。

この問題は、以前から指摘されており、これに対する解決策として通常の「正社員」異なる人事制度、「専門職」を設けるという考え方が出ておりましたが、あまり一般化していないのでしょうね。つまり、給与を青天井とする代わりに、毎年処遇を見直し、継続雇用しないケースもありとする。

「専門職」という考え方は新しいものでもなく、医師やドライバーなど、特定の資格がいるポジションでは、それぞれの専門に応じた採用の仕方をしております。また、今日「派遣社員」として、雇用の調整弁的に扱われている制度も、元をただせば専門能力を有する社員に対する流動的な勤務を可能とするという考え方があったはずなのですが、現状は人手不足を一時的に埋める頭数的な扱いしかされていない。

この背景には、「正社員上位」的な発想があるのではないかと思います。似たような仕事を外部の専門家にやらせて高給を取られたりしては、社員技術者の顔が立たない、ということですね。合理的に考えれば、トータルのコストが同じなら問題ないはずで、格式とか身分意識みたいなどうでも良いことに拘ると、問題を複雑化して無駄な出費を招くだけ。ばかげた話だと思いますよ。


返信がついております。

真柄 剛丞

かつて在職した会社には管理職登用試験があり、その際監督職(だったと記憶、要するにマネージメント職)と専門職のどちらかを選択することになっていたが、専門職を選択する人がいないので結局その選択はなくなった。

将来の処遇に明らかに差をつけていたから当たり前の選択だったのだが、今でも40台以上のサラリーマンの大半はマネージャー指向が強いと思う。


瀬尾 雄三

真柄 剛丞さん

> 将来の処遇に明らかに差をつけていたから当たり前の選択だったのだが、今でも40台以上のサラリーマンの大半はマネージャー指向が強いと思う。

これは、マネージャーに良い処遇を提示して、専門職は低く扱う、ということでしょうか? 普通は逆のはずです。マネージャーは誰でもできる仕事である一方、専門職はそれぞれの分野でとびぬけた能力を持っていなくてはできない仕事なのですね。

これ、能力主義が徹底した会社では、前者を「バックエンド」、後者を「フロントエンド」などと呼んで、後者に数倍の給与を支払うなどということがごく一般に行われています。企業間競争の最前列で戦う人たちがフロントエンドで、この人たちの優劣で競争の勝ち負けが決まるからなのですね。

まあ、日本の会社の社長や役員がバックエンドの人たち、というのがちょっと間違っているところで、本来は、専門能力の高い人達が企業戦略の決定に関与していかなくてはいけません。あたりまえの話だと思うが。

このあたり、日本では技術者が社長を務めたりしてすると、特別視されたりする。我が国の会社組織は、このあたりから直していかなくてはいけません。

1 thoughts on “人事制度改革を妨げるのは何?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です