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国益に適う選択的夫婦別姓制度

高橋克己氏の7/9付けアゴラ記事「財界トップもトランプ政権に備えよ」へのコメントです。


「選択的夫婦別姓制度」は、単なる流行というよりは、我が国の人権意識の遅れを世界の標準に合わせるうえで、避けて通れないものだと思います。

元々、基本的人権の中に、「人格権」があり、更にその一つに「氏名権」があります。氏名権は、己の氏名を他人に勝手に使われない権利、正しく使われる権利とともに、氏名の自己決定権、すなわち「氏名の変更を強制されない権利」も含まれているのですね。パスポートに旧姓が併記されているといっても、それ以外の姓を記すことを強制することは、氏名の変更を強制することにほかならず、基本的人権の侵害とみなされてしまいます。

我が国の、婚姻した女性が姓を変えるという風習は、「イエ」制度に結びついてのものでしょう。つまり、婚姻とともに、女性は実家を離れて婚姻先のイエに移る、というわけです。アニメ「千と千尋の神隠し」で「千尋」が「千」に改名させられた時も、彼女の属する世界が変わったことを意味しているのですね。これらは、本人の人格軽視と表裏一体のものではあります。

我が国の氏名権軽視が問題となった事例に、「創氏改名」がありました。これは、日本が朝鮮を統治した時代に、日本風の「姓」である「氏」も加えて個人名とすることを強制したもので、いろいろな混乱はありましたが、日本風の名前などイヤだという人にとっては、我慢のならない制度であったことでしょう。これも、氏名権の侵害ということになると思います。

今日の世界は、個人を(当然その人権も)尊重する自由主義国家と、格式を重んじる権威主義国家の対立という様相を呈しております。このような時代にあって、我が国が人権を軽視する国家であると思われることは国益に反すると言わざるを得ない。特に、パスポートなどは海外でも見せることになるわけで、そこにおかしなことが書かれていることは避けるべきなのですね。こんなところで、明治あたりにできたさほど古くない「伝統」にこだわっていても、百害あって一利なしです。海外との接触の多い経団連がこれを実感するのも当然。ここは、さっさとこの意見を受け入れるべきところです。

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