コンテンツへスキップ

「神の見えざる手」に逆らうと

永江一石氏の8/2付けアゴラ記事「相場も株価も暗号通貨も大荒れ:このまま円高に向かうの?どうなの?」へのコメントです。


そしてあまりに重い国債買い入れを減らす。こちらは金利を1%にすれば1200兆円の残高があれば12兆円、つまり消費税の半分は金利の支払いにあてないといけなくなる。日銀は国債の半分を所有しており、その金利は国庫に戻るが残りだけでも年間6兆円です。能登の震災の予算の10倍です。

政府による国債発行と、日銀の国債買い入れとは、目的も効果も経緯も、全く異なることに注意しなくてはいけません。

まず、政府による国債発行残高の増加は1980年前後からで、特に1995年以降に急激に増加しております。その理由は「円高不況対策」。1985年のプラザ合意以来、急激な円高が進み、輸出産業は工場を海外に移転させました。この結果、国内に取り残された中小企業の倒産が相次いだのですね。政府は内需拡大により景気の回復を図り、国債を大量に発行して公共事業を大いに行ったわけです。https://www.mof.go.jp/zaisei/financial-situation/financial-situation-01.html

円高不況が問題なら、円安にすればよい。当時の妥当なドル円は165円程度と考えられており、150円を切る円高が問題と考えられていたのですね。ところが為替の人為的操作は禁じ手とされており、我が国は有効な手が打てなかった。そしてこれが再び150円以上の正常なレベルに復帰したのが昨年で、最近もこの動きが続いておりました。これを定着させれば、さしあたり国内景気が回復し、税収も増加して、国債発行残高の増加に歯止めがかかったはずなのですが、一部に邪魔する奴がいる。これがこの先どうなるかは予断を許さないのですね。

第二に、日銀の国債買い入れは、民主党政権時代の異常な円高を抑制するため。2008年のリーマンショック以来、欧米各国は量的緩和に踏み切ったのですが、我が国は躊躇した。これをただしたのがアベノミクスで量的緩和(中央銀行による資産買い入れ)に踏み切った。その結果、異常な円高は解消されたけど、当然の結果として、日銀の資産保有量は膨れ上がり、日本国債の日銀保有比率が大きくなった、というわけです。おかしなことは誰もしていない。違いますか?

1 thoughts on “「神の見えざる手」に逆らうと

コメントは停止中です。