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空は落ちてこない、と思うが

中村仁氏の8/12付けアゴラ記事「株暴落が示した日銀に対する『マネー市場の報復』」へのコメントです。


日銀の機能低下や市場機能の問題は、アベノミクスに始まるものでもないでしょう。元をただせば1987年ごろから、為替市場が糸の切れた凧状態になっております。ゼロ金利が始まったのは1999年だし、量的金融緩和は2001年に導入されております。

日銀の機能が大きく失われたのは2008年のリーマンショック後で、欧米が大規模金融緩和(QEⅡ:奇しくも豪華客船と同じ略称)に踏み切る一方で、白川氏が率いていた我が日銀はそこまでの踏み込みを躊躇した結果、1ドル80円を切る異常な円高になってしまったのですね。

これを修正したのがアベノミクスで、遅ればせながら大規模金融緩和に踏み切った結果、リーマンショック以前の為替レベルに復旧することには成功した。さらに、植田日銀総裁のもとで、1ドル150円以上という本来あるべき為替水準に復旧し、国内産業もやっと失われた30年を脱却できそうなところまで来たのですね。

最近の株高は、企業利益を伴う合理的な上昇で、需給バランスによる1980年代のバブルとは本質的に異なります。その利益を支えたのが為替のあるべき水準で、こちらも何一つおかしなことはないことは、歴史を見返せばご理解いただけると思います。

問題があるとすれば、日銀当座預金の膨張で、こちらに付利する事情から、そうそう金利を上げられないという事情が日銀にある。これは少々問題ですが、これも金利以外の手段で景気をコントロールできないわけでもない。現状はまだ「空が落ちてきた」と騒ぐようなものでもないと、私は思うのですけどね。

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