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岸田総理の所謂一つの動物的勘

池田信夫氏の8/13付けアゴラ記事「日本がいまだに『デフレ』だと思っている政治家のための経済学」へのコメントです。


たしかに、長島氏の書かれた「『デフレ脱却』の最大チャンスを潰してはならない!」はおかしな物言いだと思いますけど、ここは寛容の精神を発揮して、長島氏の言いたいことを推測して「『失われた30年脱却』の最大チャンスを潰してはならない!」などと解釈すれば、さほどおかしな物言いでもないように思います。まあ、これは長島氏に甘すぎるかもしれませんけど。

さて、スタグフレーションというほどの深刻な事態であるか否かはともかく、物価が上昇しているのだからインフレであることは確かだし、日本経済がさほど強くないことも確かなのですね。そして、スタグフレーションの原因は、多くの場合、マネーサプライによるものではなく、他の要因がある。つまり、利上げにより市中のマネーを吸い上げても、それが対策にはならない場合が多いのですね。

1970年代のインフレは、原油価格の急騰が原因でしたから、金利を上げてもどうしようもない。我が国は、省エネ技術をものにして、工業部門の国際競争力を強化してこれに対応してきたのですね。そして現在の物価上昇の原因は、エネルギーコストの上昇もあるけれど、主な原因は円安で、エネルギーコストも上がれば他の様々な輸入資材も値上がりする。これもマネーサプライでどうなるものでもないのですね。

もちろん、マネーサプライを絞って円高にするという対応は、インフレ対策としては、なくはない。それが長島氏の懸念すると察せられる「『失われた30年脱却』の最大のチャンスを潰す」ということではないかと思います。このチャンスを潰すのは、たしかに惜しい。ならほかの手はないか、ここはそれを追求すべき局面でしょう。

で、その手はすでに実施中ともいえます。GDP成長率は一時的にマイナスになったかもしれませんけど、基本的に、企業業績は好調を続けており、税収も拡大している。その一方で、消費者は物価高で困窮している。となれば、打つ手は簡単。企業から得た税収の増分を国民に還元すればよい。給付金なり、エネルギー補助金なりの形でね。岸田政権の経済政策は、一見したところ、行き当たりばったりに見えるのですが、経済政策としてはさほど間違ってはいない。これって、『いわゆる一つの動物的勘』というやつですかねえ、、、

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