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7i買収と日本企業の典型的問題

岡本裕明氏の8/20付けアゴラ記事「どうするセブン、カナダ大手に食われのか?:円安と経営不振の果てに」へのコメントです。


私は円安はいいことがない、と言い続けてきましたが、それは日本企業が安値で買収されやすい展開があるから嫌なのです。目先の利益だけを捉えれば円安万歳という評論家もいますが、国家の正論を考えるとそんな話になるわけがないのです。通貨の価値は高い方がよいということです。

これは逆ではないですか? 「日本企業の買収価額」が高いか安いかは「目先の利益」であるともいえます。また、未来のある企業がこれにふさわしくない経営陣のもとにある場合は、買収してもらった方が、経営陣以外のステークホルダー(株主、従業員、顧客、納品業者などなど)にとっては、ありがたい話ということになります。

実は私もかつてはセブンイレブンの株を買っていたのですが、2005年、イトーヨーカ堂に吸収された際にすべて手放しました。コンビニエンスストアは未来の成長余地がある一方で、総合スーパーの先行きは暗かったのですね。でも、だから、イトーヨーカ堂の経営陣にとっては魅力的であったわけです。これって、おのれの保身を考えれば、という意味ですよね。

この私の予感は的中し、2016年には、鈴木敏文氏が「現状のセブンイレブンの高収益に甘えて、将来のための大胆な改革のスピードが遅すぎる」として、セブンイレブン・ジャパンの井坂氏に「ダメ出し」をした(退任を迫った)けれど、取締役会で否決され、逆に鈴木氏の退任を招いております。以下URLの大原氏の記事では、これがセブン&アイ凋落の原因としております。https://gendai.media/articles/-/65819?page=3 (こちらもご参照ください。)

そしてこの鈴木氏の問題提起も的中し、今日の事態を招いている。わかりやすい話です。これは、いうなれば、「日本企業あるある」の話で、円安がだめな経営陣の追放につながるなら、これは願ってもない話だと思うのは私だけではないでしょう。なにぶん、駄目な経営陣の被害を受けるステークホルダーは、経営陣の何百倍も存在するのですから。


(自己フォローです)

そもそも、円安になると日本のものが安く買えることは事実だけど、円安になったおかげで東京市場の株価は大いに上がっているのですね。

セブン&アイにしたところで、アベノミクス以前の700円台の株価からは3倍近くに上がっている。最近の円安以前、かつコロナ以前の安定期である2017年ごろからは1.3倍程度の上昇で、およそ円の下落幅と同じです。ということはドル建ての株価は、円が下がっても同じ程度に保たれているのですね。

ちなみにこれをイオンで比較すると、アベノミクス以前からは4倍、2017年ごろからは2倍程と、円の下落以上に円建て株価が上昇しております。企業の価値は、為替相場以上に、国内の景気の影響を受ける、ということでしょう。

まあ、彼我の経営力の差も、当然、大きいのではありますが。

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