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被雇用者側の自由度拡大も必要

アゴラ編集部の9/1付けアゴラ記事「河野太郎さんが『金銭解雇』に言及して賛否両論」へのコメントです。


金銭解雇制度導入は一つの前進ですが、雇用者側の自由度を拡大するだけでなく、被雇用者側の転職のし易さも拡大しなくてはいけません。具体的には、中途退職すると損になる給与制度を、いつ退職しても損得のない給与制度に改めなくてはいけないのですね。

わかりやすいのが退職金制度で、定年まで勤めあげるのが最も有利で、社員側の都合で中途退職すると損になる。この制度を見やすくしている会社では、退職金ポイントなどというものを毎月積み上げております。でもこれって、給与の後払いと何が違うのでしょうか。給与は、支払い義務が発生した時点で遅滞なく支払うというのが基本ルールで、何十年も経ってから、しかも自己都合退職では損になる形で支払うなどという行為は、本来禁止されてしかるべき制度です。

その他、見えにくい制度として、若いころには働き以下の賃金に甘んじ、歳をとってから働き以上の賃金を支払う、年功序列型賃金制度などというものも一般的。これも、若い時点で退職したら損してしまいます。これらの制度は、いうなれば「足抜け防止制度」であり、被雇用者の意思による転職に、経済的損失を与えることで、これを阻害する制度なのですね。

これらはいずれも、賃金支払いの基本原則に反する上、職業選択の自由という基本的人権を阻害する制度でもあります。これらは人材の流動性を阻害する、社会的にも有害な制度であり、それに加えて倫理的にも問題があるならば、即刻廃止すべきではないかと思います。

金銭解雇制度が議論されるのは大いなる前進ですが、雇用サイドの自由度拡大だけでなく、被雇用者側の自由度の拡大も、併せて行うのが合理的ではないでしょうか。

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