アゴラ編集部の9/13付けアゴラ記事「アゴラ経済塾『日本経済は新陳代謝できるか』」へのコメントです。
かつて世界ナンバーワンともいわれた日本が、30年あまりでここまで衰退したのはなぜでしょうか。安倍政権はその原因が「デフレ」だと考えて大規模な量的緩和をやりましたが、インフレになっても成長率は上がりません。
安倍政権が問題の根源を「デフレ」といった理由は、真の理由を語れなかったからではないでしょうか。安倍氏が政権を取る前の民主党政権時代の大問題は、1ドル80円を切る円高と、これに伴う製造業の国外逃避、いわゆる「空洞化」だったのですね。
適切な為替水準は、当然存在するのですが、政府当局者がこれについて語ることは禁じ手とされております。だから、円高に伴って生じる、輸入製品リードによる消費財の物価低下と、国内投資の低迷による生産財価格の低下を「デフレ」と称して、実際には「円高」に対処する政策を実施した、ということでしょう。
アベノミクス実施に伴い、民主党政権時代の極端な1ドル80円を切る円高は終焉し、元の水準である120円付近まで復帰いたしましたが、この水準も実は円高に過ぎる。1995年以来止まっております我が国GDPの成長は、この程度の為替水準で生じている現象でした。これが、無策の策のごときキシダノミクスにより150円台の円安(為替水準の適正化)が定着しますと、いよいよ成長率が上向きに転じる条件が整ってまいりました。
わが国のGDPが成長しないもう一つの理由は1995年に始まる情報革命に乗り損なったこと。これは、米国の急成長がGAFAに代表される情報産業にリードされてのものであることからも容易に理解されるでしょう。そして、その原因は、終身雇用制に代表される我が国の雇用慣行で、正社員の座を確保したら自己研鑽など論外で、全神経を社内に集中してポジションを維持することが人生成功の道となる。これでは 環境変化に適合することは難しいのですね。雇用制度の改善は、金銭解雇の導入よりも、まずこちらを何とかしなくてはいけません。
円安がんばれ