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進次郎氏の『解雇規制』は変?

アゴラ編集部の9/14付けアゴラ記事「大本命の小泉進次郎氏が迷走 『解雇規制』の話が腰砕け」へのコメントです。


良くある話なのですけど、目的があって、そのための手段があるのですけど、手段だけがフォーカスされてしまいますと、何をしたいのだかわからなくなってしまいます。「解雇規制」もそうですね。解雇することが目的ではない。何をしたいのかを思い出さなくてはいけません。

最終的にしたいことは、人材の流動化で、なぜ流動化が必用かといえば、文字通りの終身雇用制で、正社員はそうそう首にならないのなら、余計なことをせず、波風立てずに定年まで務めようと思う。その結果、変化の激しい時代には、新しい技術へのキャッチアップができず、日本企業は生産性が低いままで、国際競争にも負け、我が国のGDPは全然伸びず、給与総額も増えない。これが問題なのですね。

ならば、金銭解雇を許せば人材が流動化するかといえば、そりゃどうしようもない社員は首になるかもしれないけれど、今日の我が国の高度人材の大部分はやる気がないわけで、これら全員を首にできるわけもない。ならば、他の一手も必要なのですね。

で、終身雇用に関してはもう一つ問題があり、年金開始年齢を遅くするなら、定年も後送りしなくちゃいけない。定年を正当化するために年金があるといった方が良いかもしれません。そもそも年齢で人を差別することは、基本的人権に反するわけで、年金や退職金というご褒美をもらってハッピーリタイヤするというのが終身雇用制度の前提であったわけですね。

こちらもうまくないということになりますと、最初から、年功序列や定年制は破綻していると思わなくてはいけない。少なくとも、金銭解雇を認めるなら、終身雇用も成り立っていないわけで、せいぜい、3年などの任期ごとに、成績に応じて雇用を継続するかやめていただくかを判定するような形にしなくちゃいけない。もちろんその判断は、恣意的なものであってはならず、合理的客観的な判断基準があるべきなのですね。(続く)


我が国の雇用制度をどうするかという問題は、このような背景があるわけで、金銭解雇をやるかやらないか、などという問いの立て方は、そもそも間違っている。間違った問題に正しい答えが出る方がおかしいわけで、それをおかしいと思わない人もおかしい。

まあ、だから進次郎氏が正しいというわけでもないのですけど、これでこいつは無能といわれても、ちょっと困ってしまうのではないでしょうか。

このあたりは、「現在の雇用制度は、このままでは問題が多いので、全面的な見直しを行い、その中で金銭解雇も考える」程度の話が良いのではないかと思います。

まあ、私が思うに、進次郎氏は、これに近い言い方をされているようにも思えるのだが。

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