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中身が問題:対外対内直接投資

小川製作所さん9/15付けアゴラ記事「直接投資の効率とは?:投資収益率の国際比較」へのコメントです。


対外直接投資と対内直接投資と、簡単に割り切ってしまうと、その実態が見えにくくなると思います。

海外直接投資には、最近問題になっている日本製鉄によるUSスチール買収のような、企業買収もあるのでしょうが、我が国の企業が海外に生産拠点を移す「空洞化」も多いでしょう。この場合、その工場が生み出していた分だけGDPが低下するし、雇用も失われてしまうのですね。

一方、対内直接投資として、九州に新たな半導体工場をつくったというニュースもありました。この手の対内直接投資が多いのであれば、大いに歓迎すべきことなのですが、我が国の企業を買収するのも「対内直接投資」で、この場合は、買収される企業はもともと存在していたわけだから、GDPが増えるわけでもなく、雇用の増加にもつながらない。

我が国で製造業が成り立ちにくい一方で、古くからある企業の所有する不動産の多くは低い取得原価で計上され、巨額の含み益を有していたりする。それが有効活用されていないなら、この会社を買収して含み益を現金化することで大きな利益を得ることができるのですね。

この手のマネーゲームのような投資と、新しい産業を興す生産工場への投資は、分けて考えなくてはいけません。GDPへの寄与や雇用の創出となりますと、前者は少なく、後者が多い。対内が前者で対外が後者などということになりますと、目も当てられないことになるのですが、さて。

参考:https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/gtir/2023/no2-3.pdf

最新版全文:https://www.jetro.go.jp/world/gtir/2024.html

1 thoughts on “中身が問題:対外対内直接投資

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