手塚宏之氏の9/21付けアゴラ記事「石炭を巡り起きている不都合な真実」へのコメントです。
炭酸ガス排出量半減計画を金科玉条のごとく考えますと、石炭消費量の増大は不都合な事実なのでしょうけど、核融合を含む原子力発電技術の進展を考えれば、それほど心配したものでもないように思えます。と、言いますのは、核融合技術が実用化するのは2030年代と見込まれており、それからさほど時を経ずに、核融合発電が主なエネルギー源となるであろうと思われるからです。
原子力発電コストに占める燃料費は10%程度といわれておりますが、海水からの燃料採取も現実的な核融合では、この比率はさらに低下するものと思われます。設備コストが90%となりますと、常時フルキャパシティで運転し、電力が余る際には電気代を9割引きして需要を喚起してもペイすることになります。
この時の安価な電力の使い道として、水を電気分解して水素を作ることが考えられます。水素と炭酸ガスから天然ガスの主成分であるメタンが得られますので、電力需要が高まったときは天然ガス発電を行い、炭酸ガスを回収しておけばよい。天然ガス火力発電コストに占める設備コストは20%程度と低いですから、電機が要らないときには設備を遊ばせておいてもさして損は致しません。
炭酸ガスが足りない場合、海水中の炭酸ガスを回収すればよい。海水中には空気中の炭酸ガスの50倍もの炭酸ガスが溶け込んでいます。火力発電所では、冷却水として海水を大量に取り込み、しかもこれを温めている。この海水をちょっと酸性にしてやれば炭酸ガスは容易に得ることができるのですね。
そこまで考えれば、今やっていることは炭酸ガスを海水に貯め込んでいる。貯金しているようなものだ、まあ、そう思っておけばよいのではないでしょうか。
iijyan