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判断に許容される二種類の誤り

中村仁氏の10/12付けアゴラ記事「私も塩野義製薬の効かないコロナ治療薬の被害者」へのコメントです。


これは、「慌て者の誤りとぼんやり者の誤り」と俗に言われる問題で、正式には前者を『第一種の誤り』(Type Ⅰ error)、後者を『第二種の誤り』(Type Ⅱ error)と呼ぶとのこと。

データが十分にそろうまで結論を出すべきではなく、データが十分にそろったら結論を出さなくてはいけない。これが判断の基本なのですが、充分にそろう前に結論を出すのが「慌て者」、充分なデータがあっても結論を出さないのが「ぼんやり者」ということになります。

でも現実には、充分であるかどうかの判断は難しい。結局は確率統計の知見を使うしかなく、10%の誤りを認めるか、1%の誤りしか認めちゃいけないか、という判断をしなくてはいけない。コロナ治療薬の場合、緊急性もありましたから、重篤な副作用がないと判断された場合は、効き目に関してある程度の誤りを許容した、ということではないでしょうか。

このような判断が正しいかどうかは、誤りがあったからすなわちダメ、という判断ではなく、それが当初予想された程度の誤り率であったのか否かが、判断の妥当性を決めることとなります。最初から、誤り率を想定して判断をしているわけですから。

そして、数値的な問題はともかくとして、効いた薬もかなりあったことと、効かない薬に対する再評価もきちんとされているなら、基本的には正しい処理が行われたのではないかと推察されるのではないでしょうか。

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