濱田康行氏の12/20付けアゴラ記事「【書評】太田康夫『漂流する資本主義 新たなパラダイムを求めて』」へのコメントです。
格差は先進国と途上国の間でも開いたから、途上国の働く人々は世界の最底辺に置かれた。先進国の大都会で売られる一杯のコーヒー代金のたった1%しか農園労働者の賃金にならなかった。
こういう数字のマジックはいただけません。以下のURLの情報を参考に、ちょっと計算してみましょう。https://recipe-book.ubiregi.jp/articles/coffee-genka/
コーヒー一杯の値段を350円とすると、農園労働者の取り分(コーヒー代金の1%)は、コーヒー1杯あたり3.5円ということになります。コーヒー豆1kgから80杯のコーヒーがとれるとすると、農園労働者はコーヒー豆1kgあたり280円を得ることになります。
玄米価格は1kgあたり400円前後ですから、コーヒー豆1kgあたりの農園労働者の取り分とさして変わらない。まあ、コーヒーの木1本からとれるコーヒー豆は400g程度ということで、広い面積がいるとは思いますけど、担ぐ重さあたりの収入ではコメ農家もコーヒー労働者もさほど違わないのですね。
そうなりますと、最初の引用部で言いたいことは、一体なんであったのか、という気になるわけで、この手の一文があるばっかりに、本全体の信ぴょう性が疑われてしまう。まあ、コスト感覚に敏感な読者には、ですけど、何をやっているのでしょうか。