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原発火力太陽の使い分けが肝要

杉山大志氏の12/21付けアゴラ記事「政府資料では分からない、本当に安いのは原子力と火力」へのコメントです。


原発は出力一定で運転するため、原発比率が高いと夜間電力が余ってしまうという問題があります。かつては、昼間の電気代がkWあたり25円ほどしていたのに対して夜間電力は7円などという価格設定がなされていたこともあったのですね。また、蓄電技術の一種である揚水発電などというものも積極的に導入された。

この夜間電力の大幅な値引きは、現在は解消の方向にあるのですが、その理由は太陽光発電比率の増加と、エコキュートなどの夜間電力利用機器の普及があると。原発がローコストになったのは太陽光発電のおかげとなりますと、この先原発中心にしてしまうと、また原発のコストが上がってしまいます。ここは、各種発電方式をそれぞれの特徴を生かして組み合わせる、ポートフォリオと言った考え方が必要なのでしょう。

もう一つの問題は、原子力という技術が若い人に魅力的にみえない点で、誰も未来のない分野におのれの人生を託そうとは思わない。原子力発電の先の見通しを付けてやらねばなりません。

一つの道は、放射性廃棄物の処理に見通しを付けること、10万年の保存が難しい以上、高速炉を用いて無害化の期間を短縮する技術開発に本気で取り組まなくてはいけません。また、これで生成されるプルトニウムを燃やすための原子炉も、未来にわたって必要で、長期の安全性を保障する技術も、きちんとものにしておかなくてはいけない。

目先だけなんとかしようなどということを責任のある立場の人たちが考えてしまいますと、若い技術者に見透かされ、逃げられてしまいます。この手の技術を使いこなすには優秀な人材は必須。そのためにも、原発がおのれの人生を託す価値があると理解されるだけの、きちんとした計画を提示していかなくてはいけません。


他の方のコメントに返信を入れておきました。

渡辺井文

梅雨で二十日雨続くとかあるのに電池って・・・

大雪の年とかあるのに北海道に太陽光発電作っといて、それで電池って・・・


瀬尾 雄三

> それで電池って・・・

電池にもレドックスフロー電池などというものがありまして、酸化剤と還元剤をタンクに貯めておいて、必要に応じて電池に供給することで、事実上無限大の容量を実現することができるのですね。つまり、タンクを大きくすれば、ということですが。

実際のレドックスフロー電池にはバナジウム化合物などの利用が提案されていますが、わかりやすい例として水電解で説明すると、電力が余っているときには水を電気分解して酸素と水素を蓄えておき、電力の不足しているときには燃料電池を使ってためておいた酸素と水素を電力に変換する。

イットリウム安定化ジルコニアなどの酸化物電解質を使った高温水電解装置は、反対に使えば燃料電池になりますからこれが二次電池として機能する。水電解で得た水素と酸素をためるタンクを大きくすれば、いくらでも充電することができるのですね。

もう一つの方法は、生成した水素と回収炭酸ガスのメタネーション反応でメタンを合成する方法で、メタンは天然ガスと同じですから、現行の火力発電所で使える。発生した炭酸ガスを回収して保存しておき、これをメタネーションに使えば、事実上の電池と同じになる。多少効率は悪化しますけど、現行設備を利用できますので、現実的な方法かもしれません。技術には、いろいろな広がりがありまして、良く調べれば、いろいろな可能性があることがわかります。

1 thoughts on “原発火力太陽の使い分けが肝要

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