アゴラ編集部の3/8付けアゴラ記事「富士通、新卒一括採用を廃止:終身雇用の終焉でシニアはどうなる?」へのコメントです。
富士通が人事制度でいろいろな手を打ってくるという背景には、それなりの危機感というものがあるのでしょう。かつて電電御三家の一角を占め、電電ファミリーという温室の中で経営してこれた。これは幸せなことであったかもしれないけれど、これでは、外部の世界と競争する力が生まれない。
前世紀の終わりごろから情報技術が世界を席巻するようになると、さすがにこれではやっておれない。携帯電話でi-modeという優れた技術をもちながら、その後のスマホの世界では「ガラパゴス携帯(ガラケー)」は相手にされない。ここは、世界に通用する技術で勝負するしかないし、それにはそれ相応の人材も必要ということでしょう。
旧来の日本的雇用は、新卒一括採用のあと年功序列で優秀な人もそうでない人もそこそこの出世をして定年退職の日を迎える。これでは、自己研鑽のモチベーションもなく、転職・起業の意欲もないということは、2022年5月に経産省が出した「未来人材ビジョン」でも述べられていた。https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf
これを改善するには、それぞれの実力に見合う処遇とし、実力に見合うポストがない場合には、企業の枠を超えて職を移る。そうした人事制度が必要といわれていたのですね。のちに、NTT系の研究会社で実際に優れた研究者の転職が多く出て、優秀な社員の処遇を見直す動きもありました。
それぞれの企業は本気で他社と競争しているのだから、それぞれの社員に要求されるのは高度な技術なのですね。プロスポーツのチームのようなものです。やり方には自由度があるから、全員が一流でなくてもよいけど、最適化は必要なのですね。ここで、そのような動きが出てくることは、歓迎すべきことだと思いますよ。
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