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日本を衰退させる、原因の数々

清谷信一氏の3/26日付アゴラ記事「日本衰退の原因は中学高校での社会科教育の軽視じゃないか」へのコメントです。


理論物理学を否定して原子炉をつくれるとも思わないし、アベノミクスは日本を救ったと理解しており、これを失敗とする考え方は全く理解できないのですが、『愚民化』の一点のみは正しい。しかしこれには、大きく分けて三つの理由があると思います。

ぼくはこの30年の日本の衰退の原因は中学と高校での社会科教育を軽視した結果の愚民化だと思っています。

たしかに我が国では公民教育がおろそかになっている。これは、元を糺せば日教組と文部省の対立にあり、一方がマルクス主義に立脚する左翼、他方が民族主義的傾向をもってしまいますと、この間に調停を見出すことが困難で、教育など成り立たない。ただ、公民教育は、学校教育の場以外でも可能であるにもかかわらず、これができないという社会的事情もあったのですね。

人類知能が衰退の一途をたどっているとの主張は、E.ダットン氏らの「知能低下の人類史」でもなされ、アポロ計画やコンコルドを飛ばしていたころから人類知能は低下の一途をたどっていると主張しております。その理由は、優生学的な問題で、知能の低い個体ほど多くの子孫を残すとしております。同種の主張はN党の立花氏によってもなされ、顰蹙を買っているのですが、シンガポールではこれに対応する政策が実施されたこともありました。https://agora-web.jp/archives/220703234623.html

もう一つのポイントは、電子的コミュニケーション手段の発達が、熟慮を許さず、議論の質を劣化させたという点で、建築家のポール・ヴィリリオ氏の「電脳世界/最悪のシナリオへの対応」にも見ることができます。我が国では1956年の大宅壮一氏の「一億総白痴化」も同様の指摘です。最近のフジテレビを見ますと、この病気、全然直ってはおりません。

最後の点は、1969年にローレンス・ピーター氏らが発表した「ピーターの法則」で、人は無能の限界まで出世するというものですが、これが人類にもあてはまるのではないかという点です。人は科学を発達させ、戦争に利用して実に効率的に人を殺せることに気付いた。そしてついに、人類を絶滅できるところまで来たのですね。ここから一歩進めば断崖絶壁から落ちるだけ。さあ、どうしますか、という問題です。これに応えることは、ちょっと恐ろしい。

1 thoughts on “日本を衰退させる、原因の数々

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