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経済には必要なインフレもある

中村仁氏の3/30付けアゴラ記事「物価高による税収の自然増を政府は歓迎、『いい湯だな』」へのコメントです。


消費者物価が3年以上も2、3%上昇し、生鮮食品を含めた総合指数では4%程度を記録しています。加算していけば、物価は10%は上昇しています。それでも加藤財政相が「まだデフレを克服していない」というのは、心の中では、税収が増えるインフレを歓迎しているからでしょう。

一方、石破首相は「強力な物価対策を打ち出す」といっています。石破首相は「物価対策が必要なインフレになっている」を考えている。閣内不一致です。さらに植田日銀総裁は「ぎりぎりまで物価動向を見極める」として、政策金利(0.5%)の引き上げを見送りました。そう言っているうちに、利上げのタイミングを逃してきたし、植田総裁も「財政問題を考えると、インフレ税もやむをえない」派でしょうか。

インフレとは物価の上昇を意味するのですが、貨幣のモノに対する交換レートが低下したという意味であって、物が不足している場合と、貨幣が余っている場合のいずれかが原因となります。

インフレ対策としての利上げは、余っている貨幣を中央銀行が吸い上げることでインフレを抑制するものですが、同じ効果は増税により政府が余っている貨幣を吸い上げても達成されるのですね。物価の上昇も、それ自体が、消費者から生産者への貨幣の移動ですから、それ以上の物価上昇を抑制する効果がある。つまり、あるところで物価の上昇は止まる、ということです。

一方のデフレは、物価の下落を意味しますから、物価が上昇している以上、デフレではない。でも、「デフレを克服していない」という時のデフレが、単に物価の下落を意味するのではなく、景気の悪さを意味するのであれば、それはわからなくもない。つまり、物価が上昇すれば、一般に、生産者は大いに利益を上げる、景気が過熱するのですが、そのような状況には至っていないというわけです。

すなわち現状では、生産者へのキャッシュの還流が不足している、物価が上げ足りない、ということかもしれない。もしそうであるなら、ここはもう少し物価を上げて、生産者により多くを生産しようというインセンティブを与えなくてはいけないし、金利を下げて設備投資を容易にするといった対策も必要になる。そういう意味で「デフレを克服していない」というのであれば、これは妥当な物言いであるように私には思われます。

1 thoughts on “経済には必要なインフレもある

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