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国民の高賃金を保つことは可能

池田信夫氏の4/8付けアゴラ記事「トランプとマスクが対立するグローバリゼーションの次の選択」へのコメントです。


グローバリゼーションはアジアに多くの雇用を生み出した。かつて最貧国だった中国の労働者は豊かになり、世界全体が豊かになり、先進国と途上国の所得格差は縮まった。

だがそれによってアメリカの単純労働者の賃金は中国に近づき、国内の格差は拡大した。これは要素価格の均等化という19世紀から知られている法則である。水が高いところから低いところに流れるように、賃金の高い国から低い国に生産が移動し、それは世界全体の単位労働コストが同じになるまで止まらない。

グローバリゼーションが先進国と途上国の所得格差を縮めることは確かなのですが、この下に示されているグラフはいただけません。なにぶん、2015年を100としておりますから、実際がどうであろうと、1995年からの推移でみれば、労働コストが同じになっているように見えるのですね。

実は、各国給与の推移は、さまざまなところが提示しているのですが、いずれかの年を100とするものが多く、実体が見えてまいりません。下のURLは、平均年収の実際の値の日米比較ですが、これを見ますと、日米の給与は、同じになるどころか、どんどん差が開いております。https://mexicolaboratory.com/world-average-wage/#toc4

日米の給与格差が拡大している理由は、GAFAに代表される情報サービス業の急速な拡大が米国GDPを引き上げる一方で、日本は1995年以降、経済成長はほとんどストップしております。この原因は、主に、日本の固定的な労働環境にあるとされており、この部分を改善して、2~3倍の一人当たりGDPとして北欧並みの水準の実現を目指すべきでしょう。

なお、国際的に給与水準が同等になる方向に向かうことは事実ですが、国民の多くが能力技術を高めてより多くの価値を生み出す仕事をすることで、給与水準を高いレベルに保つことができます。現に米国は情報サービスにシフトすることでそうしております(トランプ氏は変な方向を向いていますが)。そのための鍵は、結局は雇用のあり方で、我が国はこの弱い部分を早急に改善しなくてはいけません。

1 thoughts on “国民の高賃金を保つことは可能

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