篠田英朗氏の4/14付けアゴラ記事「日本はアメリカとどう交渉すべきか」へのコメントです。(4/15追記)
(4/15:追記しました。)米国と「どう交渉すべきか」、という一点に絞って考えますと、いくつかのポイントがあるでしょう。一つは、下でも述べました、「求めるべきは機会の平等であり、結果の平等を求めるべきではない」というポイントで、これに関してはBloomBergの論評もありますから、一応の説得力はあるでしょう。
第二に、それでも結果の平等を求める場合には、その裏に「優秀な俺たちが負けているのは、奴らがずるをしているに違いない」というような、先入観というか、人種的偏見がある可能性もあり、ここは、やんわりと指摘する余地がありそうです。ただし、これはセンシティブなところですから、扱いは要注意です。
日本の米に対する輸入関税に関しては、我が国のコメ不足という問題もあり、妥協の余地はあるでしょう。ただしこれは、いろいろなところに関係してくる複雑な問題であり、「検討します」というくらいのことしか言えない。まあ、「善処します」という奴でしょうか。これで先方が納得してくれたら御の字ですけど。
トランプ氏の琴線に振れそうな話題として、ゴルフのハンディキャップを例に出すのが良いかもしれません。強いプレーヤーと弱いプレーヤーがともにプレイする場合、強いプレーヤーにハンディキャップを課す。これって、輸入関税と同じなのですね。で、日本の農業は、規模も小さく弱いプレーヤーだけど、食糧安保や環境保全のために守る必要があるため、ハンディキャップを与えるしかない、というわけですね。
翻って米国の自動車メーカや鉄鋼メーカは、世界に冠たる堂々たる企業であり、ハンディキャップなど必要ないのではないでしょうか、と提案したらよさそうです。そして、一時的に困っているなら日鉄なりトヨタなりがご協力します、と。まあ、そんな話の持っていき方をすれば、トランプ氏は動いてくれるかもしれません。ま、「わからんけど」と付け加えておきますが。(追記ここまで)
自動車に関しては、少し前のブルームバーグに面白い記事がありました。日本は米国製自動車に閉鎖的だというけれど、ベンツやBMは、日本のそこらじゅうを走り回っているというのですね。そして次のように述べます。https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-09/SUDHXKT1UM0W00?srnd=cojp-v2
多様性・公平性・包摂性(DEI)やその他の「目覚めた」とされるイニシアチブへの反対で知られるトランプ政権は、アクセスにおける平等を望んでいないように思えるのは何とも皮肉だ。
むしろ、平等な結果という形での公平性を求めているのがトランプ政権だ。
結果の平等を求めるのは、全然米国的ではない。機会の平等を与え、結果の不平等を甘受するのが米国的のはずです。結果を平等にせよというなら、米国のお金持ちに巨額の税金を課して、貧しい人たちに配らなくてはいけない。そのお金持ちの代表格が、トランプ氏やマスク氏であることは言うまでもありません。さあ、どうしましょうか。
なぜ米国の自動車が日本で売れないかというと、売る努力を怠っているから。なんとも無気力な人たちなのですね。これでは、米国の自動車メーカが自力で回復する可能性は低い。すでにゾンビと化している。ここは、GMをトヨタ傘下に置くくらいの荒療治が必要なのではないでしょうか。
石破総理は、そのくらいのことを、トランプ氏に提案した方が良い。米国人が最も好むのは、アグレッシブという言葉。この言葉は「積極的」とも訳されますが、その意味することは「攻撃的」。敵を知り己を知れば、百戦危うからず、です。
しない