岡本裕明氏の4/21付けアゴラ記事「基軸通貨ドルを調整すべきか?:米国債を多量に所有する日本政府のバランス感覚」へのコメントです。
そう考えるとアメリカの国債が暴落して多量に所有する日本政府に被害が及ばないことだけを祈ります。一般的な投資のリスク分散の思想からは日本はアメリカに偏重投資の状況です。バランス感覚が非常に悪い気がするのは私だけでしょうか?
わが国が米国債を保有する意味は、一般的な「投資」という意味ではなく、「外貨準備」の資産という意味なのですね。なぜそれが米国債かといえば、米国の通貨であるドルが基軸通貨であり、米国政府の信用に裏打ちされた米国債は,ドル資産の中でも最も安全な資産と考えられるからでしょう。
ドルが基軸通貨であるからこそ、各国政府は米国債を保有する。これは、米国にとっては大いに有利な状況であって、基軸通貨だからこそドル建ての債券を保有してもらえる。だから、ドルが基軸通貨の地位を失うようなことがありますと、その可能性が高まっただけでも、米国債は暴落するでしょう。これは、米国にとっては悪夢であるはずです。
トランプ氏がこれをあまり心配しない理由がよくわからないのですが。逆にその他の国は、さほど心配することもない。ドルが基軸通貨の地位を失うと、この一部をユーロや元や円が務めることになる。複数通貨を組み合わせたバスケットのような形で基軸通貨の代替とされるのではないでしょうか。その時には、日本国債も各国が外貨準備の資産の一つとして保有してくれるはずで、政府は豊富な資金を手にすることになる。ドルの信用失墜は悪いことばかりでもないのですね。
もちろんこれは、米国にしてみれば悪いだけの結果。そうならないようにするためには、財政と国際収支という二つの赤字を何とかしなくてはいけない。DOGEはその一つの試みでしょうし、タリフマンの攻勢も意図するところはそこにあるのでしょうが、他力本願のやり方でうまくいくようには思われません。ここは、米国産業自体を強くし、政府の収入も増やす、そうした地道な努力が要請されるところではないかな? 一発逆転などという甘い夢は見ない方が良いと思うのですけどね。
円安