コンテンツへスキップ

ドル円の理想的水準は何処に?

岡本裕明氏の4/24付けアゴラ記事「ドル高修正は本格化するか?:マネーが既に流出しつつあるアメリカ」へのコメントです。


ところで通貨の価値は高い方が良いのでしょうか?安い方が良いのでしょうか?これはどこを基準に見るか次第だと思います。ただ、日本のように成熟国家になれば自国通貨は安いより高い方が良いというのが私の意見です。

これは、各国の産業競争力に見合ったレートがあって、何らかの外部の力によりこの状態を外れると不安定になる、ということでしょう。(なぜか内閣府共通検索では出てこない)内閣府のレポートに、プラザ合意から円高不況までを解説した文書がありますが、これを読むと、このあたりの問題がよくわかります。https://www.esri.cao.go.jp/jp/esri/prj/sbubble/history/history_01/analysis_01_02_02.pdf#page=40

まず、プラザ合意以前のドル円は220~250円/$でした。高すぎるドルを低下させようとのプラザ合意では、10%以上のドル安を目標としておりますが、「物価指数に加え、輸出財産業の正常利潤率の実現と生産性上昇率などを考慮した上で購買力平価(PPP)レートを修正した吉川洋の試算によれば、1985年時点での均衡レートはすでに1ドル=160円前後であったという」(同文書p.145)ということだったのですね。

それが、どんどんと円高が進み、ついには絶対防衛ラインと考えていた150円を割り込みました。宮澤蔵相は米国ベーカー財務長官と会談し、行き過ぎたドル安という認識を共有し、G7のルーブル会議でドル防衛に動くとのルーブル合意へと至りました。これらの動きから考えて、1980年代後半の望ましいドル円は150~170円/$あたりであるように思われます。

ところが円高は止まらず100-120円あたりまで進む。この結果、日本国内の輸出産業は成り立たず、中国への工場移転が相次ぎ、結果的に中国が日本に代わる輸出大国になっちゃった。日本を痛めつければよいというものでもないことは覚えておいた方が良いでしょう。で、本邦企業も生産合理化が進み、150円/$なら十分な利益を得られる。おそらくドル円の好ましい水準は130-150円あたりにきているのではないでしょうか。まあ、120円台は、消費者的にはうれしいけれど、これは少々行き過ぎだと思いますよ。

1 thoughts on “ドル円の理想的水準は何処に?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です