コンテンツへスキップ

失われた30年、脱却の鍵はAIか

アゴラ編集部の5/26付けアゴラ記事「日本の1人あたりGDP、来年にはポーランドにも抜かれる見通し」へのコメントです。


日本経済研究センターの予想では、所得水準を示す1人当たりの実質GDPについて、日本は2024年の29位から、2075年には45位にまで順位を下げる見通しです。日本経済を底上げするためには、定年制や正規・非正規の待遇格差といった雇用慣行の改革、さらには教育への公的支出の拡大が、労働参加率や生産性の向上につながると分析しています。

日本が成長を止めたのは1990年代、その中でも1995年を境に、GDPの成長がぴたりと止まっております。今年2025年は、我が国が成長を停止してからちょうど30年目にあたります。ここから過去を振り返れば、まさに「失われた30年」ということになります。

この1990年代に何があったのか、1995年という年は何であったか、これらを思い起こせば、我が国が成長を停止した理由に思い当たろうというものです。1990年代は、情報技術が急速に進んだ年、パーソナルコンピュータの利用があたりまえになり、1995年は人呼んで「インターネット元年」。情報革命が勃発した年だったのですね。

情報技術がこれまでの新技術と異なる点は、これが応用される現場が工場や研究所ではなく、事務所であったということ。ビジネスシーン全般で情報通信が使われ、コンピュータがこれを効率的に処理する。この作業を普通のホワイトカラーが実行するところにありました。でもこのためには、さまざまな現象を数値化し、モデルにあてはめ、統計処理をするという「情報リテラシー」を各人がもっている必要がありました。「リテラシー」の原義は「識字能力」ですから、情報リテラシーのない人は、かつての「文盲」と同じで、そもそも事務処理には不向きとなりました。

本来は、このような能力不足の人はそれができる人と交代すべきなのですが、我が国の雇用制度は極めて硬直的で、そのような人が引き続き事務処理を担当してしまいました。この結果、情報技術の利用が拡大せず、我が国の事務処理効率は諸外国に対して大きく遅れることとなりました。ただ、この先AIが普及しますと、AIが人そのものを置き換えてしまいますので、この問題は解決されるはず。うまい具合に展開すれば、我が国の経済は急回復するかもしれません。そう、私は期待しているのですが。

1 thoughts on “失われた30年、脱却の鍵はAIか

コメントは停止中です。