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三次産業へと発展する米国だが

中村仁氏の6/1付けアゴラ記事「トランプ大統領がしかける紛争はまるで『南北戦争の再来』」へのコメントです。


ChatGPTが指摘しているように、製造業はかつての製造業ではなく、高度の知識、技術、システムを駆使しないと、競争には勝てない。さらに南北戦争の時代とはことなり、産業は国内だけで完結されなくなり、国際的なサプライチェーンを生かさないと、国際的な競争に勝てなくなっているからです。

GDPの伸びなどの普通の経済指標で見れば、米国は経済的には大成功を収めております。これはGAFAMなどの情報サービス業の急成長によるもので、製造業(第二次産業)というよりはサービス業(第三次産業)であって、最近話題のNVIDIAにしても、製品はLSIチップではありますが、その価値のほとんどはファームウエアの部分、つまりはシリコン上に納められた知的成果物にあるのですね。

米国は、情報サービス業で世界を席巻する一方で、製造業では世界に後れを取る。これはある意味あたりまえの話で、経済活動を支える米国内のリソース(ヒト・モノ・カネ)は情報サービス業に流れてしまいますし、情報サービス業で米国経済が好転すれば、物価の上昇や為替レートの変化などで、成長を抑制する効果も生じる。これは、神の見えざる手にもよりますが、FRBによる人為的調整もこれを後押しいたします。旧来の製造業が割を食うのは、当然の結果です。

製造業からサービス業へという変化は、農業中心の経済から工業中心の経済への「進化」と同様、経済発展そのものに他ならない。だからこれに対する正しい政策は、変化によって生じる痛みを和らげつつ、経済発展を後押しすることであるはず。国内の製造業は、より高度な分野、付加価値の高い部分に特化すれば、引き続き発展できるのですね。

自動車産業であれば、従来の自動車からテスラに代表される電子情報技術を駆使した分野に移行すればよい。鉄鋼であれば、高特性の電磁鋼板や、ハイテンと呼ばれる高張力鋼板などへとシフトすればよい。これらは日本の鉄鋼業が得意とする分野で、そういう意味では日鉄のUSS買収は一つのチャンスだったのですが、何をやっているのでしょうかね。

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