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意味ある偶然に満ちている世界

長谷川良氏の6/7付けアゴラ記事「どうして今、『22兆円』なのか:テスラ株急落と福島第一原発訴訟」へのコメントです。


以上、当方の細やかな例を考えても「意味ある偶然」があるのだ。当方が「22兆円」の記事を読んで驚いたのも理解してもらえたのではないか。繰り返すが、「意味ある偶然」が至る所に満ちているのだ。その「偶然」に隠された意味を探すのは私たちの仕事だろう。

偶然にも意味を見出すのが人間というものでしょう。月面の文様にウサギを見出し、そこにウサギの文様のある理由を説明する物語を作り出す。インクの染みに何を見出すかを被験者に問い、その言語表現から被験者の心理を知る「ロールシャッハ・テスト」という手法もある。このテストの面白い点は、ランダムな文様に人は何らかの意味を見出すという点で、全ての偶然に意味を見出すことができるということかもしれません。

神を信じる人にとっては、世界は神の創造物なのだから、全ては神の御意志の現れで、あえて神の御意志を問いたい場合には意図的に偶然を作り出すのですね。筒の中からランダムに引き出された神籤棒の番号で将来を占うことは、多くの神社で行われておりますが、卑弥呼の昔に動物の骨を焼いて生じたひび割れで神の意志を知ろうとしたのと、原理的には同じ。2000年近くを経過しても、人類はさして進歩しておりません。

さて、意味のある偶然は、「偶然だよ」で済まして、何も考えないこともできるのですが、積極的に利用することで精神的な安定を得ることもでき、それによって成功の確率を上げることもできます。これは例えば、たまたま赤いハンカチをもってテストに臨んだ際に良い成績が得られたら、大事な試験の時に赤いハンカチを持っていく。いわゆるゲン担ぎという手もあるのですね。「これで俺は首尾よくやれる」と自信を持つことができれば、それが良い結果にもつながる。意味のないことでもないのですね。

まあ、ゲン担ぎも神の御意志も、「迷信だよ」で片づけることもできますし、そう考える人にとってはその通りなのでしょう。でも、世界は観測者の内にあるとするのが物理学の到達した地平だし、ローマの元遊び人、アウグスティヌスは「外に出てゆかず、きみ自身のうちに帰れ。真理は人間の内部に宿っている」と語っております。何が真実であるかは人それぞれ、「信じる者は救われる」、好きなようにさせとけばよいと思いますよ。


(2025.8.14追記)過去の記事から、ボーデの法則に関する部分を引用しておきます。

ピタゴラス流の単純な数列を用いて惑星の軌道半径を表現する試みは、ボーデの法則という形で実を結びます。これによりますと、軌道半径の計算値と実測値は以下のようになります。

惑星 水星 金星 地球 火星 小惑星 木星 土星 天王星 海王星 冥王星
計算値 4+0 4+3  4+6  4+12 4+24  4+48 4+96 4+192 4+384
観測値 3.9  7.2   10   15.2  27.7  52.0  95.4 191.9  300.7   395

もちろんこれはたまたまなのでしょうが、小惑星や天王星が発見される前に、かなりの精度でその軌道半径を予測しておりましたので、広く受け入れられる説となりました。また、海王星の軌道は大きく狂っているのですが、その代わりに冥王星の軌道がその位置にありますので、海王星を別物とみなす、という考え方もできるのですね。

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