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排出炭酸ガスの資源化について

松田智氏の6/15付けアゴラ記事「『CO2を食べる自販機』という『おとぎ話』」へのコメントです。


結局は、CO2が炭素の最終酸化物つまり保有エネルギーが一番小さい炭素化合物であり、これから燃料などの高エネルギー物質を作る操作は、保有エネルギーを高めるために必ず外からエネルギーを加えなければならないから、エネルギー的・経済的に既存燃料より必ず不利になる宿命にある。つまり、CO2の吸収・再利用をめぐる話題と言うのは、どれにせよ本質を考えれば行き着く先は見えている。いつまでも「おとぎ話」に酔いしれていることは、お勧めできない。

CO2の吸収・再利用は、二次電池に類似したエネルギー蓄積手段としてあり得るのではないかと考えられております。つまり、余剰電力というエネルギーをどのような形で保存して、電力不足の時間帯で再利用するか、という問題に対する解の一つとして考えられているのですね。

このエントリーでは食塩電解で水素を得る例が示されておりますが、現在考えられている最も有利な電解水素製造法は高温水電解で、100℃超の高温高圧下でアルカリ水電解を行うプロセスや、安定化ジルコニアなどの固体電解質を用いて数百度の高温下で水を酸素と水素に分解するプロセスなどが検討されております。

これで得た水素は、そのまま燃料として利用できるほか、燃料電池で再び電力に戻せるのですが、水素は液化しにくく、大量の水素を長時間保存するのはコスト高となります。この解の一つに、水素を炭酸ガスと反応させてメタンを得るメタネーションというプロセスがあります。メタンは天然ガスの主成分ですから、これを発電に使えば、合わせて電力エネルギーをLNGの形で保存したことになるのですね。

これに使う炭酸ガスは、大気から得ることも不可能ではありませんが、火力発電所排ガスなどの炭酸ガスを高濃度で含むガスから得ることが効率的です。このプロセスは、アミン溶液に吸収させ、加熱して放出させる技術がすでに確立しており、これで得た炭酸ガスを地中埋設することなどが検討されております。これをメタネーションによりメタンに戻して火力発電所で利用するのは、良いやり方であるように私には思われます。

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