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日本アニメの特徴と将来への道

岡本裕明市の7/13付アゴラ記事「変わるアニメの世界:あと数年で中国・韓国と並ぶ一勢力になってしまう日本」へのコメントです。


日本アニメは、確かに90年代には黄金期を迎えたのですが、もとはといえばディズニーがお手本にあったのですね。東映動画の大川博氏は「日本のディズニーを目指す」を合言葉に「白蛇伝」を制作したのですね。また、宮崎駿、高畑勲の両氏はフランスアニメ「王と鳥」の影響を受けて「ルパン三世カリオストロの城」を制作している。https://www.ghibli-museum.jp/outotori/

文化などというものは、それぞれに刺激を与え、影響しあって発展するもの。ここで韓国中国が台頭したところで驚くにあたりません。そもそも、日本アニメのエンドロールを見れば、関係者の多くが日本人ではないことぐらいすぐわかる。まあこれは、文化云々以上に、人件費、という要素もあってのことだったかもしれませんけどね。

それよりも日本アニメに影響を与えそうな要素が技術の進歩です。アニメ制作に技術の進歩が大いに影響しております。ディズニープロはゼロックスをいち早く取り入れましたし、マックなどの手ごろなコンピュータの登場とともにデジタルペイントが盛んになる。ジョブズ氏のピクサー以来、3D-CADの利用が盛んになる。さらには、これにAIを組み合わせることもできる。後者では川上量生氏が宮崎駿氏に怒られたこともあったのですが、これは表現がキモイからで、技術が悪いわけではない。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E4%B8%8A%E9%87%8F%E7%94%9F

問題は、日本アニメの伝統は3D表現ではないということなのですね。王朝絵巻から浮世絵につながる日本風絵画表現は、輪郭線の使用、影を排した均一な塗色、消失点のない奥行き表現など、ものの見え姿ではない。それは不完全な表現というよりは、脳の視覚情報処理を先取りしたもので、これに慣れた人には独特の安心感を与えるのですね。

もちろん伝統にこだわる必要はなく、新しい技術でより見え姿に忠実なアニメを作る道もあるでしょう。でも、これまで培った日本アニメの二次元表現にもそれなりの価値がある。AIと同時におそらくは脳内情報処理にかかわる知見も進歩するはずで、これらを取り込めば、3Dアニメを超えた2Dアニメもできるのではないかと思います。まだまだ日本アニメ、やらなくてはいけないことが山のようにあります。


(ブログ限定の追記です)

ルパン三世、アニメがYoutubeで公開されております。アニメ制作はトムスエンタテインメント傘下のテレコムなのですが、ここは宮崎駿がおられたところでした。そういうわけでエンドロールをじっくり見たのですが、宮崎さんの名前は出ておりません。これほどの人たちが出てこないエンドロール、名前を出すのは相当に大変なことの様子です。

このURL、TMS60周年記念というのですが、TMSは「東京ムービー新社」、この会社、いろいろと名前を変えて、東京ムービーから、名証二部の仕手「キョクイチ」の名を冠した「キョクイチ東京ムービー」なんて時代もありました。ルパン三世を製作する会社として、なかなか面白い社名ではありました。

まあ、その後もなかなか、ルパン三世風に流れてまいります、この会社。最終的に、トムスエンタテインメントは、パチンコ台を製作しているサミーに買収されるのですね。パチンコ台、中央部に液晶ディスプレイがありまして、そのアニメが一つのパチンコ台の要素となっております。ルパンの台は、不二子のアニメが表示されて、パンティーが見えると大当たりのフラグが立つという。まあ、それっぽい話ではあります。ここ、名探偵コナンも扱っているのですが、こちらはパチンコ台には似合いませんね。

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