コンテンツへスキップ

大インフレを回避する金融政策

池田信夫氏の7/19付けアゴラ記事「消費税減税で『トリプル安』が起こって『インフレ大増税』になる」へのコメントです。


野党有利のニュースが出るたびに、円安、株安、債券安の、トリプル安が生じているという最近の傾向があります。野党が勝てば、この傾向はさらに進み、円安(およびその結果としての輸入品価格上昇)と債券安(長期金利上昇)が起こる可能性は高い。おそらく、こうした事情を反映して以下のご主張をされているのだと思いますが、金融政策を組み合わせれば、この問題は、回避ないし軽減可能ではないかと思います。

これは史上最大規模の減税なので予想は困難だが、インフレのとき減税したら、インフレが加速することは明らかだ。インフレになると長期金利=自然利子率+予想インフレ率なので、長期金利が上がることも確実である。

まず、長期金利は日銀による制御が可能な因子であって、自動的に定まるものではないのですね。だから、昨今の状況下では、日銀の当座預金への付利を低いレベルに保つなどの手段で、長期金利は低いレベルに保てるはずです。

市中に供給したマネーの多くが日銀当座預金に還流してしまう現状は、マネーサプライを増加させる目的からは困ったことなのですが、金利を低く保つ上では好都合です。これは、国内の資金需要が低調であることの反映なのですね。このような状況下では、デマンド側に起因するインフレにはなりにくいと考えられます。

サプライサイドを原因とするインフレは、第一に円安に伴う輸入品価格の上昇が生じるでしょうが、為替はそうそう極端には動きにくい。もう一つは、宇露戦争や中東情勢の悪化に伴うエネルギー価格の上昇がありますが、こちらは金融政策とは関係なく動いてしまいます。一方で、インフレによる生活苦を減税や給付金で救うのは、それほど悪い政策でもない。極端な動きをせずに、注意深く手を打てば、さほど困った状況にはならないのではないかと、私には思われる次第です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です