尾瀬原清冽氏の7/24付けアゴラ記事「スペイン大停電の原因は過剰な再エネ依存と判明:日本にも迫る電力不安の現実」へのコメントです。
系統電圧を安定的に調整するために必要な無効電力を十分に供給するには、再生可能エネルギー発電所に無効電力制御機能(スマートインバーター機能など)の搭載を義務づけることが、各国で検討されている。しかし、その導入には高コストが伴い、発電事業者にとって経済的インセンティブが乏しいのが実情である。最終的には、そのコストを誰かが負担しなければならず、電気料金の上昇要因となることも避けられない。
元々、ソーラーセルは直流を発電しますので、これを系統につなぐためにはインバータが付いております。ここで発生する交流の位相を、単に系統の位相に合わるのではなく、多少の調整機能を付加する、ということですね。これは、自らのコスト負担で行うことを発電事業者に義務付ければよい。
もちろん、一般家庭などの小規模なソーラーセルは、コスト負担がばかになりませんから、現行通りとするしかないでしょう。でも、大規模な発電事業者であれば、この手の追加はさほどのコスト負担にもならないはず。インバーターはもともと備わっておりますし、位相を制御する部分のコストは、発電の規模にはほとんど影響されないはずなのですね。
風力発電も、かつては界磁電流で位相制御を行っておりましたが、近年は急速にインバータ化が進んでいる。彼らに対しても、同様の位相制御を義務付けるべきでしょう。また、ソーラーを含めて位相制御を配送電側の指令で行うようにすれば、個々の制御の乱れによる大規模停電も未然に防げるのではないかと思います。
確かに自然エネルギーを最小化して原発比率を高めれば、現在の電力会社の経営にはプラスかもしれません。でも、先々を考えれば、原発の発電規模を夜間の最も低い電力需要に合わせ、昼間の需要増には、できる限り太陽光で対応する。これらの稼働率を100%として、微調整部分を揚水を含む水力発電と火力発電に頼るのが最も効率が良いはず。これに必要な技術を世界に先駆けてものにする。これが、日本の電力関係者のなすべきことではないでしょうか。
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