永江一石氏の7/25付けアゴラ記事「アメリカへの投資80兆円が税金と勘違いをする人たち」へのコメントです。
このエントリーがおおむね正しい認識だと思います。興味深い点は、先日の池田信夫氏のご理解とは相当に異なっていることで、なまじ経済学の学識がおありだと、経済学に素人同然のトランプ氏の言葉が理解し難い、ということではないでしょうか。https://agora-web.jp/archives/250724055508.html
トランプ氏、経済学用語を厳密な意味に使わない(まあ、これらの用語は一般的な言葉でもあるのですが)ことに加え、相当に誇張したものの言い方をされる方であるという点に注意が必要です。巨額の軍事装備品を日本が購入するとの「成果」に関しては、すでに官房長官が否定しておりますが、その他に関しても、どこまでが新規の投資か、よくわからないのですね。
まあ、トランプ氏はもともとが不動産屋さんでして、日本でも「駅近」とか「日当り良好」などの言葉を素直に信じてはいけないといわれておりますが、米国の不動産業にも似たようなところがあるのでしょう。はったりをかます、と言いますか。
これらに関しては、おそらくは、日本側の主張が正確で、トランプ氏の発言は相当に割り引いて考えなくてはいけないと思いますが、綸言汗の如し、一度語ってしまうと取り消しが難しく、誇張された成果を合意事項と主張し始める恐れも多分にあります。
この辺りは、この先十分注意しなければいけない点であり、ひと悶着起こることも覚悟したうえで、トランプ氏なり米国サイドとは対応していく必要がありそうです。
他の方のコメントに返信を入れました。
佐藤 鴻全
> それを「利益の90%がアメリカとか搾取されてる」とかバカの標本かよ。なんでアメリカ人が働いた金を自分たちがもらえると思ってるのか。現地だって利益ぜんぷ送ったら新しい投資も在庫もできないから内部留保という形で新工場や設備に投資するだろう。
まあ、常識的にはそうなる。
だが、WHの公式文書を見ても、トランプがSNSで吹かしたのと同様に下記のようになっている。
The United States will retain 90% of the profits from this investment—ensuring that American workers, taxpayers, and communities reap the overwhelming share of the benefit. https://www.whitehouse.gov/.../fact-sheet-president.../これは、文字通りの当期最終利益若しくは税引き前利益の90%を米国側が得るとも読み取れ、あえて意図的に曖昧にしている感が濃厚だ。
変幻自在の常人ならざるトランプ、まして相手が石破さん。
対中姿勢等々も含め石破氏の出方次第で、埋め込まれた爆弾は起爆する可能性がある。永江氏のような能天気な楽観論は禁物だろう。
瀬尾 雄三
profit(プロフィット)という言葉には、「利益」という意味のほかに「収益」という意味もあります。収益にはrevenueという英語もあり、学者の方はこちらを使うと思いますが、普通の人はどちらの意味にも使うのですね。
収益と利益の間には「利益=収益-経費」という関係式が成り立ち、売り上げや受取利息など、入ってきたお金が全部「収益」に含まれ、これから、人件費や材料代などの経費を差し引いたものが「利益」ということになる。
労働者や地域社会(納入業者ということでしょう)がprofitを分け合うという記述を見れば、このprofitは「収益」と考えるのが妥当なはずです。何分、人件費を差し引いた「利益」であれば、これをさらに労働者や地域に分ける理由がないのですね。
そもそも、profitが利益を意味するのであれば、利益の9割を米国がとる、その合理的理由がどこにあるかも疑問です。日本政府が「譲渡」するということでしょうか? そうならそうで、これをきちんと書かなくてはいけないところです。
まあ、最後の最後にprofitの意味が「利益」なのか「収益」なのかでもめたところで、これを「収益」であると主張する合理的根拠は多々あると思いますが、後々の混乱を避ける意味で、米国政府の声明の意味を日本サイドからきちんと(定義がしっかりした学術用語で)解説しておくのがよいと思います。その解説に、米側からクレームがつかなければ、さしあたり日本側解釈の正当性が担保されたと考えておいてよいのではないでしょうか。
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