コンテンツへスキップ

経済的発電技術開発という難問

尾瀬原清冽氏の7/30付けアゴラ記事「次世代地熱発電が『夢のまま』で終わるこれだけの理由」へのコメントです。


地熱は、確かにあまり筋がよくありません。第一にそれは熱エネルギーであり、これから電力を得るにはカルノー効率がかかる。そして、温泉でおなじみのように、多くの場合は、あまり高温の熱エネルギーではないのですね。

もちろん、高温蒸気が得られる場所もありますけど、それは限られた場所でたいていは山の中。硫黄などの問題もありますから、発電コストをあまり安くはできない。でも、発電所からの廃水は温泉になる可能性もありますし、観光と組み合わせるなどのビジネスはあるかもしれません。

地熱に関しては、最初から高い効率はあきらめ、低温排熱の利用という技術のくくりとして、60℃程度の温排水を用いた発電技術として開発したらよいのではないでしょうか。有機ランキンサイクルなどの発電システム一式をコンパクトなパッケージにまとめれば、使いやすい小規模発電設備として、一定のニーズもあるだろうし、いろいろ便利に使えるのではないかと思います。

波力発電も、効率は二の次とすれば、日本は可能性に満ちた自然条件にあるといえます。Google Mapの航空写真を見ますと、日本の海岸線に消波ブロックが設けてあるところが非常に多い。消波ブロックで熱に変えている波浪エネルギーを、何らかの形で電力に変換できれば面白そうです。波力発電は、潮汐差がコストアップ要因になるのですが、日本海側は、潮汐差が小さく、かつ冬の荒波もある。ひょっとすると、道はあるかもしれません。ここは、アイデア勝負です。

我が国のエネルギー関連技術を発展させるうえで最大の障害となっているのは、エネルギービジネスが食い物にされているという悪しき伝統があるからなのですね。経済性はどのような技術においても最重要課題なのですが、電気代が原価で定まる総原価主義の下では、コストダウンするよりも高コストのままでおいたほうが関連業界は大きな利益が得られる。電力会社も、機器納入会社も、これでは経済的な技術を開発しようとのインセンティブに欠けてしまうのですね。ここをどうすればよいか。これは技術的な問題など比べものにならない、大いなる難問であるといえるでしょう。

1 thoughts on “経済的発電技術開発という難問

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です