小川製作所さんの8/3付けアゴラ記事「日本の財産所得は多いのか? 1人あたりと対GDP比の国際比較」へのコメントです。
図6は日本の対外資産負債残高を表していますが、直接投資は対外直接投資が大きく超過している事がわかります。
他国は対外直接投資と対内直背投資が相応の水準となりますので、財産所得としてもかなりな部分が相殺すると推測されます。
このような背景のもとに、海外との財産所得の収支も影響を受けていると理解すれば良いのではないでしょうか。
皆さんはどのように考えますか?
財産所得が大きいことは、一見よさそうに見えますが、国内の製造コストが高いために、生産工場が海外に逃避しているためであれば、あまりありがたい話ではない。企業収益は、日本で作ろうとも、海外で作ろうとも、利益が上がればよいのですが、日本人労働者にとっては、稼げる職がなくなってしまい、日本政府にとっては税収が減ってしまう。

図2を見ますと、日本の財産所得が増え始めたのは1985年からで、プラザ合意以後の急速な円高の時期に相当します。そして、1995年と2012年前後の極端な円高の後で増加速度が増えていることも読み取れそうです。これらの時期には、生産工場の海外逃避(産業の空洞化)が大きな問題になったのですね。円高は、物価が下がって目先は良いのですが、工場が出て行ってしまうと、先々の稼げるところがなくなる。ポピュリストの政策に従いますと、後で痛い目にあいます。
カナダの大きなマイナスは、米国のプラスに対応するものでしょう。カナダの人口は米国の1/8以下ですから一人当たりでみれば大きな値になるのですが、額では米国のプラスの一部に相当しそうです。これらは、トランプ氏が問題にするところであり、カナダとメキシコで生産した輸入品に対して高率の関税を課すと脅しているのですが、カナダの国民にしてみれば職が増える、良い話ではありました。さて、こちらはこの先、いかがなりますことか。
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