岡本裕明氏の8/5付けアゴラ記事「波紋を呼んだアメリカ雇用統計と今後の影響:なぜこれほどの大修正がなされたのか」へのコメントです。
ただ、その究極の原因はトランプ氏の関税や移民政策にあり、金利を引き下げても雇用は戻らない可能性が出てきます。企業は様子見を続けるでしょうし、政府部門の雇用が増える状況にもないと考えます。とすれば雇用市場だけ見ればContraction つまり収縮が起きておりpoint of no return (引き返し不能)となりつつある懸念があります。
いよいよ、トランプ税制の弊害が表れてきた、ということでしょうか。そもそも、米国経済は世界経済とも強くリンクした巨大システムであり、それをよくわかっていない素人が大きく動かしてろくな結果になるわけもない。まあ、たまたまうまくいく可能性もゼロではないですが、極めて高確率で、破局的な結果に至ると考えるのが妥当でしょう。
古人いわく、「大国を治むるは小鮮を烹るがごとくす」です。その意は、小魚を煮るとき、あまり突き過ぎると崩れてしまうから、突き過ぎてはいけない。大国を治める際も、突き過ぎたらぐちゃぐちゃになっちゃう、という意味なのですね。
米国にだって、この複雑な経済システムがわかっている知恵者がいないわけではないでしょう。でも、ハーバードなど、アカデミズムを敵に回しているトランプ氏に、適切な助言のできる人はいるのでしょうか。また、それが適切な助言であっても、果たしてトランプ氏が聞き入れてくれるものかどうか、はなはだ怪しい。
ここはトランプ氏に信頼されている外国の政府要人がトランプ氏に助言すべき局面です。日本政府のトップも、その大役が務まるはずなのですが、さて、石破氏でこれができますかどうか、こちらもはなはだ心もとないものがあります。それができそうな人となりますと、ここは林芳正氏あたりに絞られそうな気もします。まあ、他国のトップが何とかしてくれる可能性も、ゼロではないのですが。