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寧辺の軽水炉で何をしている?

長谷川良氏の8/25付けアゴラ記事「朝鮮半島に『ミニ・ロシア』が出現する日:深まる露朝両国の同盟関係」へのコメントです。


江先と寧辺における未申告の濃縮施設の存在は、金総書記が兵器級核物質の生産計画を超過達成するよう指示したことを裏付けている。江先および寧辺のウラン濃縮工場が稼働を継続している兆候があり、また寧辺の軽水炉(LWR)も運転を続けている兆候がある。LWRの隣接地では、支援インフラの追加が確認された」という。

この「寧辺の軽水炉(LWR)」というところが不気味ですね。一般に、軽水炉では兵器級プルトニウムはできないといわれているのですが、これは単に、希望的観測と言いますか、「そういうことにしている」というだけの話であるように思えます。昨年初めに笹川平和財団から出された「北朝鮮の軽水炉が臨界に~軽水炉で核兵器級のプルトニウム製造は可能か?」によれば、かなり制限はあるけれどできないわけではない、としているのですが。https://www.spf.org/spf-china-observer/eisei/eisei-detail007.html

上の資料では、軽水炉はウラン235を5%程度まで濃縮した燃料を長期間燃やすため、不純物が多く、特にプルトニウム238は、自然核分裂により発熱するため、弾頭部が高温になってトラブルのもとになるとしております。これを避けるため、短時間で燃料を入れ替えて純度の低下を防ぐとしているのですね。

でもこれって、劣化ウランのペレットを別途挿入して中性子を照射すればよいだけの話であるように思えます。このペレットでは核分裂を起こさないようにすれば、不純物が増えることもなく、天然ウランの大部分を占めるウラン238から効率的にプルトニウム239を作ることができるのですね。

兵器級プルトニウムは、黒鉛炉や重水炉やガス炉でも作ることができるということなのですが、そういう中であえて軽水炉を運転し続ける理由が何か。それが気になるわけです。こういうことを書くと、北朝鮮に余計な知恵をつけかねませんけど、私が知っていることくらい、ロシアの科学者はとうの昔からご存じのはず。むしろ、トランプさんに聞かれたらバンカーバスターの出番、などということになるかもしれませんが、米国の学者にしたところで、とうの昔からご存じで、北側も安心して良いはずなのですね。

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