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日本のコロナ対策の優秀さ再び

池田信夫氏の8/27付けアゴラ記事「西浦博氏の『トイモデル』の誤りは最初からわかっていた」へのコメントです。


このエントリーは、マスクという要因が抜けております。欧米の多くの国では、マスクは病人のするものとの考えが根強く、健康な者がマスクをするという習慣がなく、マスクをしているアジア人が忌避される、といった問題も起こっておりました。

そもそも、マスクの目は1μ程度のウイルスを防ぐ効果がないという考え方も主流だったのですね。でも、ウイルスは直径数十ミクロンの唾液飛沫に含まれていることが解明され、マスクの感染予防効果が明らかになった。それは、アベノマスクの配布が始まった直後のことで、各国もマスク着用を推奨するようになったのですね。

その他、三密防止や手洗い励行などなど、様々な対策がとられ、これらが各国各様であったことから、このエントリーのような一律の比較は困難だと思います。

このエントリーの初出であります2年前の8月に私のつけたコメントが、このコメント欄の下のほうにあります。その内容は、現在でも変わらずに通用すると思います。同じことを記すのも無駄なことですから、ぜひそちらをお読みください。

結論として、日本はコロナ対応をうまくやり遂げた。西浦氏を含む関係者の努力を多としたいと思います。この件に関して、あまり自虐的になる必要は皆無です。もっと自慢したほうがよいくらいなのですね。


(8/29:追加コメント)

少し遅くなりましたが、一つ気が付いたことがありますので書いておきます。と、言いますのは、このエントリーやコメントで、話がかみ合っていないという印象を受けるのですが、その理由に思い当たったからなのですね。

つまり、科学者の役割について、多くの人が誤解している、ということではないでしょうか。つまり、科学者は、預言者や占い師や証券アナリストや競馬競輪競艇などの予想屋のような、未来の出来事をズバリ教えてくれる人だ、と考えている人が多いように見えるのですね。

実際には、科学的な知識を現実に当てはめる人であり、その一つは、感染症拡大の数理モデルという道具立てであり、もう一つは基本再生産数というコロナ感染の速度を決めるパラメータでした。このうち、数理モデルは比較的頼りになるのですが、コロナがいかなる性質を持つかは、特に初期の段階では明らかではない。相当に,仮定の多い推論になることはやむを得ないのですね。

こんな科学的知識の当てはめがなぜ必要だったかと言えば、これによっておこる被害のあらあらの見積もりが必要で、特に国民の命に係わる問題であれば、ワーストケースを見積もる必要がある。最悪の事態に対応できるよう、政府は準備しておかなくてはいけないのですね。それが「何もしなければ」という前提であるわけです。

感染速度を決める再生産数という重要パラメータは、ヨーロッパの数字はあったけど、アジアの数字はない。初期段階で、アジアとヨーロッパは違うようだとの印象もあったのですが、ヨーロッパ型のウイルスが入ってきた段階で急速に感染者を増やしていた。その段階で行う予想としては、西浦氏の予想は極めて妥当だと思います。これが科学者の行動として、ごく普通のものだ、ということですね。もちろん、預言者失格ではあるのですが、最初から預言者でも占い師でもないのだから、致し方ありません。

1 thoughts on “日本のコロナ対策の優秀さ再び

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