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大学がなすべきことは簡単な話

黒坂岳央氏の9/4付けアゴラ記事「これから『大卒バブル』が崩壊する」へのコメントです。


AIの普及により「事務・秘書・会計などのホワイトカラー職」の必要性が薄れる一方で、「電気工事士や物流」などの「現場仕事」は人手不足が慢性化する。確かにその通りでしょう。でももう一つ我が国に欠けている人材が「高度専門職」なのですね。大学がまさに養成すべきはこの手の人たちでしょう。

我が国が抱える大問題は、1995年以降の経済成長がストップしていること。1995年から2025年の間、米国は4倍、中国はなんと26倍と、GDPを伸ばしているのに対して、日本は全然伸びていない。まあ、ドル建てでは0.75倍とシュリンクしているのですが、1995年の80円/ドルから2025年の150円/ドルという為替の変化を補正すれば(つまり円建てなら)1.4倍程度にはなるのですがそれでも他国に比べたら全然低い。かつてドル建てGDPで米国に次ぐ第二位を誇った我が国は、中国に続き、ドイツやインドにも抜かれているのが実情なのですね。
https://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=NGDPD&s=1980&e=2025&c1=JP&c2=US&c3=CN&c4=DE&c5=IN&c6=GB

このような経済の停滞は、円高ドル安という為替が一つの原因ではありましたが、1995年以降急激に進んだ情報革命に我が国はキャッチアップできていないことが大きな問題と考えられます。また、エネルギーの分野でも、我が国は後れを取りつつある。このような技術分野で世界をリードするには、まずはその手のことを得意とする専門技術者を育てなければいけない。大学が養成すべきはこういう人たちなのですね。

今日の大学は、ある種の既得権益化した部分があり、なかなか変化を受け付けないという問題もあるでしょう。しかし、文系の定員を削減し、理系を増加させることは容易にできるでしょうし、創造的な研究成果を上げた教員に予算を重点的に配分することもできる。要は、メリハリを付けて運営すればよいだけの話なのですね。

まあ、なかなかこれができない理由もなんとなくわかる。予算を配分する立場の人たちが、今日不要になりつつある人材なのですから。でも、そんなことを言っている場合ではない。ここで手をこまねいていたら、それは自分自身が不要な人材ということだ。何をすべきか、簡単な話だと思うのですが。

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