池田信夫氏の9/25付けアゴラ記事「賃金の上がらない原因は『正社員の過剰保護』」へのコメントです。
我が国の人事制度の問題点として、人材の流動性が低い、という点がよくあげられております。でも、このエントリーを含めて、少々、ポイントを外しているように私には思われます。
確かに人材の流動性を妨げている原因の一つは、正社員の解雇が簡単ではない(だから企業も正社員を増やしたがらない)という問題なのですが、解雇したくなるようなダメ社員をどうしたところで日本経済に与える影響はそれほど大きいはずはないと思ううのですね。
むしろ問題は、優秀な社員が転職しにくい社会制度です。本来、転職の自由は、基本的人権の一つですらあるはずで、これを妨害する諸制度は、極端に言えば憲法違反。即刻廃止しなくてはいけません。
その一つは、以前のアゴラ記事にもコメントしましたけど、中途退職で不利な扱いを受ける退職金制度です。そもそも退職金は、労働基準法24条が禁止している、一か月を超える給与の後払いであり、自己都合退職で不利な扱いにするなど言語道断。借金で芸者を奴隷状態にしているのとさして変わらない制度なのですね。https://agora-web.jp/archives/250305205050.html
同様の問題は、自己都合退職で不利な扱いをする失業保険制度にもあります。これらに共通する考え方は、「勤め人は文句を言わずに、年季の明けるまで、今の職場を勤め上げろ」という封建的な思想なのでしょう。これ、今日の思想には全く適合しておりません。こんなところからも、少しずつ、社会の常識を変えていかなくてはいけないでしょう。
保守