池田信夫氏の10/7付けアゴラ記事「高市早苗氏は『日本のサッチャー』になれるか?」へのコメントです。
「日本のサッチャー」と言っても、サッチャー首相就任時の英国と高市総裁就任時の日本では、経済環境が全然違うのですから、同じ経済政策を期待するのは間違いです。見習いたいと考えているのは、「鉄の女」と呼ばれた強い意志なのではないでしょうか。
英国病と日本の失われた30年は、経済停滞という意味では似ているところがないわけでもない。しかし、英国病の原因が行き過ぎた福祉制度と国有化された企業の非効率さ、そして強すぎる労組の横やりであったのに対して、我が国の失われた30年の原因は、プラザ合意以降の行き過ぎた円高と、情報通信などの技術革新へのキャッチアップ失敗、そしておそらくはその原因である固定的な雇用制度と、両国の置かれた背景はずいぶんと異なっております。
池田氏はアベノミクスを失敗とみなされておられるようで、一般的な認識とは異なるのですが、我が国の失われた30年からの脱却は、アベノミクスの貫徹にあると考えるのが妥当で、高市新総裁の掲げる政策の多くも、「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」、「成長戦略(イノベーション政策)」という、アベノミクスの三本の矢と軌を一にしているように見えます。
今日のわが国が失われた30年から脱却するには、(公言はできないのですが)現在の為替水準を維持すること、国内製造業への投資拡大、そしてイノベーションによる新規産業の成長が依然として要求されます。これを鉄の女張りの確固とした意志で推進する、悪い考えではないと思いますよ。