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エネルギーが生み出す炭素資源

室中善博氏の10/7付けアゴラ記事「グリーン幻想:ネットゼロ思想が見落としているもの」へのコメントです。


以下は、それほど心配したことでもないように思います。

CCU(炭素回収・利用)はより建設的だが、CO₂は非常に安定した分子であり、反応には高温・高圧・大量の水素が必要となる。条件を緩和しようとすれば新たな触媒開発が不可欠だが、コストや耐久性の壁が高い。高コスト水素と合わせて、結果として製品価格は従来の3〜4倍にもなることがある。

現時点で考えられている技術では、水素と炭酸ガスからメタンを作るメタネーションプロセスと、合成ガス(一酸化炭素と水素の混合物)からエタノールを合成するプロセスが有望と思われます。https://www.j-lpgas.gr.jp/data/greenlpg_presen02_aist_20201120.pdf

メタネーションは古くから知られた技術で、余剰電力を用いて水を電解して得た水素と、ボイラーなどから回収した炭酸ガスから、天然ガスの主成分であるメタンを得ることができます。メタンは都市ガスとしても、火力発電燃料としても使うことができるのですね。

エタノールの合成もメタネーションと類似したプロセスで、一酸化炭素は炭酸ガスの水素還元で得られますから、同じ原料が用いられます。エタノールは、それ自体が液体燃料で、そのままガソリン代替の自動車燃料となるほか、脱水反応により容易にエチレンに転化し、合成化学原料に用いることもできます。

炭素資源は、石炭の埋蔵量が比較的豊富で、現在知られた埋蔵量と採掘量から百年以上の寿命があると考えられております。また、木くず紙屑生ごみなど、植物由来の廃棄物を焼却することで炭酸ガスを得ることもできます。もちろん、海水や大気中から回収してもよい。安価なエネルギーさえ得られれば、あとはいかようにもなる。それが現状ではないでしょうか。

1 thoughts on “エネルギーが生み出す炭素資源

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