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高市内閣に期待される成長戦略

中村仁氏の10/23付けアゴラ記事「東大卒が多くハーバード大卒もいる高偏差値内閣に何を期待していいのか」へのコメントです。


以下の引用部で、「財政政策で経済成長をもたらすことはできないことをアベノミクスは示しました」という点は、全く正しいのですが、その前の議論は、まったく的を外しております。

高市首相は積極財政論者で、安倍政権の後継者の流れです。アベノミクスは膨大な財政赤字、日銀による巨額な国債保有、円安、市場機能の喪失という負の遺産を残しました。アベノミクスを肯定する学者、識者は今や少数派でしょう。「責任ある積極財政政策」で経済成長を目指すようです。財政政策で経済成長をもたらすことはできないことをアベノミクスは示しました。

アベノミクスが何であったかは、貿易収支のグラフを見ていただければ一目瞭然。安倍内閣は2012年末から2021年まで続いたのですが、2010年まで続いていた貿易収支(図中水色部分)の黒字が2014年の大きな赤字に転じた、我が国の経済危機を受けての政策だったのですね。https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/pg2024cy.htm 

この時生じていたのは、2008年のリーマンショックに対応して欧米各国が量的緩和に走る中、我が国はこれに出遅れ、1ドル80円を割る円高が2年ほど継続しておりました。この結果、国内産業の国際競争力は失われ、工場の海外移転が進んだのですね。この結果、法人税収入は落ち込み、財政赤字も拡大、民主党政権は公約に反して消費税の増税に追い込まれました。https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/010.pdf 

アベノミクスは、貿易収支の赤字拡大を止めることはできましたが、元のレベルまでは戻せませんでした。一旦出てしまった工場は、簡単には国内には戻らないのですね。これを可能とするためには、新たな産業を興す必要がある。これが、安倍政権で不十分に終わってしまった「第三の矢:成長戦略」であり、これこそまさに高市内閣が取り組むべき課題というわけです。

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