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円安の好悪二面性がちぐはぐ?

アゴラ編集部の11/14付けアゴラ記事「片山財務相が円安の悪影響を認めても止まらない『円安促進』政策のちぐはぐ」へのコメントです。


円安には悪影響もありますが好影響もある。悪影響は、輸入品の値上がりによる国内物価の上昇であり、好影響は国内産業の競争力改善による企業利益の向上なのですね。

この好悪いずれの影響が大きいかという問題ですが、輸入品価格の上昇は輸入品を消費する側にはマイナスだけど輸出業者にはプラスで、国内物価の上昇は、消費者にとってはマイナスだけど、生産者にとってはプラスで、物価上昇による生活費の増加と企業収益改善による賃上げのどちらが勝つかという問題になるのですね。

これらは一見バランスしているように見えますけど、貿易収支が黒字ならプラスが大きい。国内の生産活動が有利になれば、国内で価値を生み出す方向に作用し、GDPが上昇し、給与総額が増加し、消費税はもちろんですけど、法人税、所得税も増加し、財政収支は赤字から黒字側へと動くのですね。

こうしてみますと、円安はそれほど悪いものではない。貨幣価値の維持を責務とする通貨当局にとっては、円安はメンツにかかわるのですが、円の価値を高めても景気を悪化させて国を貧しくしては、何をしているかわからない。ここは、日本経済全体をにらんだ経済政策が求められるところです。

もう一つは、円安の好影響と悪影響の受け方が、人によって異なるという問題で、好影響を強く受ける人と悪影響を強く受ける人がいる。これに対しては、悪影響を強く受ける人達を救済する政策が必要であって、例えばガソリン税の引き下げなどがこれにあたるのですね。そう見ますと、片山財務相の政策の妥当性が見えてくるのではないでしょうか。

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