篠田英朗氏の11/14付けアゴラ記事「過熱する『台湾有事』非難合戦の裏にある高市首相の勇み足」へのコメントです。
もし日本が、アメリカを飛び越して、台湾を防衛する目的で集団的自衛権の行使を宣言するならば、全く事情が異なることは、言うまでもない。
この文章は「仮定文」だから、どのような仮定の下に議論することも間違いではないのですが、勝手に置いた仮定に依拠して他人を糾弾したりすることは間違った行為です。糾弾するなら、これが仮定ではなく、厳に我が国がそう考えているということを実証しなくてはいけないのですね。
これに関する高市氏の発言は以下のものでした。実は、「アメリカを飛び越して」などという話ですらないのですね。詳しくは下記URLをご参照ください。
首相は、台湾の海上封鎖を解くために米軍が来援すれば何らかの武力行使があり得ると語り、「戦艦を使って武力の行使を伴うものであれば、どう考えても存立危機事態になり得る」と述べた。https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20251113-OYT1T50009/
どうも我が国の評論家の諸氏は「論理」というものがわかっておられないようです。「なり得る」という言辞は「可能性」を示すものであって、「そうなるかもしれないし、ならないかもしれない」という意味なのですね。つまり、意味のあることは何も語っていない。「私は知りません」と言っているだけの話です。もちろん「お答えできません」というのが最も正しい答弁だったのでしょうけど、意味論から言えば、これと大差のない答弁を高市氏はしておられるのですね。
野党サイドが高市氏に発言すべきと期待した言葉は、「我が国はこれに関与しません」といったものであるように思えるのですが、これこそ危険な言質であって、こんなことを言ってしまうと、中国の台湾進攻を後押しする恐れがある。まったく世界をどうしたいのか。野党の方々とそれを推す評論家の方々の気が知れません。