アゴラ編集部の11/21付けアゴラ記事「消費者物価指数が3.0%上昇と再加速:補正17兆円がインフレをさらに深刻化」へのコメントです。
このエントリーで一つ抜けている要因は、「トランプ関税の効果」ですね。これ、当初より、ドル高円安を招く効果があると予測されておりました。https://www.smd-am.co.jp/market/shiraki/2025/devil250710gl/
トランプ氏は、「ドル高は大惨事だ」などと言いながら、やっている政策はおよそドル高を招くものばかりなのですね。輸入関税は貿易黒字側に作用しますし、その結果米国の物価が上昇し、インフレ抑制に金利を上げれば海外資金が流入する。資金の流入は、巨額の投資を米国内に行えとか、防衛装備品を買えなどという要求でも生じてしまう。そういうわけですから、円安は致し方ないとあきらめるしかありません。
円安は、物価の上昇を招きはしますが、我が国の産業にとってはグッドニュースで、輸入品の競争力が低下する一方で、国産品の競争力が増し、輸出も容易になる。逆に、円高はトランプ氏の言われるとおり、日本経済にとっては「大惨事」ともなり得ます。

実際我が国でこれが起こったのが民主党政権時代で、貿易収支の推移を見れば一目瞭然、民主党時代の1ドル80円を切る円高の結果、国内生産工場が海外に逃避し、それまで大幅黒字を続けていた貿易収支はマイナスに落ち込んでしまいました。これは、税収も減るし、何よりも、そこで働いていた人たちが職を失い、国内の消費まで減ってしまうのですね。https://www.mof.go.jp/policy/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/pg2024fy.htm
物価が上がっても給与が上がれば生活は保たれます。これが十分でなく困窮する人たちには、別途救済措置を講じればよい。現在やろうとしているのはそういうことですよね。これは、全然間違っていない。間違っていないどころか、まさにやらなくてはいけない方向なのですね。何分、我が国最大の問題は、「失われた30年」とも呼ばれる経済の長期停滞であり、その原因が行き過ぎた円高と目されておりますので、これをリセットすることを、まずは考えなくてはいけません。