岡本裕明氏の12/4付けアゴラ記事「金利は上がるのか?円相場はどうなるのか?:ドル円が200円になるとき」へのコメントです。
為替は通貨量という「中立ポイント」に対して極めて大きな振れ幅が存在します。その振れ幅は国力や政治、地政学、資源、人口、潜在的な経済力など様々なエレメントがその時々の話題となり、それが為替に影響します。その振れ幅が対ドルで80円から160円だと考えています。この幅が市場で形成されたきっかけが1985年のプラザ合意です。
プラザ合意以前のドル円は200‐250円のレンジでした。プラザ合意時点で妥当と考えられたドル円は明確ではないのですが、165円前後とみられております。これが150円を割って円高が進行した時点で、日米蔵相会議が開催され、G7のルーブル会議でこれ以上のドル安は阻止しようとの合意がなされました。
この経緯から考えれば、ドル円の妥当な水準は165円であり、150円以下のドル安円高は「異常な円高」であったと考えるべきでしょう。当時の日本の国際競争力が異常に強かったことを考えれば、より円安のレベルが妥当かもしれません。https://ecodb.net/exec/trans_exchange.php?b=JPY&c1=USD&e&s=&ym=Y
30年にわたって続いた「異常な円高」の結果、我が国のGDPはこの30年間、ほとんど成長しておりません。下のURL(上図)は、いくつかの国の一人当たりのGDPですが、各国が数倍に伸びている一方で、我が国はほとんどフラットとなっております。
https://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=NGDPDPC&s=1980&e=2025&c1=US&c2=JP&c3=KR&c4=CN&c5=RU&c6=
このチャートで興味深い点は、1995年の我が国の一人当たりGDPが米国を上回っていること。これは、80円を割る異常な円高によってドル評価されたGDPが急増したことで、同様な現象は2011年以降にみられますが、これは、実力ではなく、むしろその後の景気後退の原因となったことに注意しなくてはいけません。