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中国が台湾占領に成功する条件

野口修司氏の12/8付けアゴラ記事「台湾有事と尖閣防衛に関する日本の戦略的対応:存立危機事態への備え」へのコメントです。(12/16大幅に追記しました。)


中国が台湾占領に成功する『二つのシナリオ』とは」と題するデイリー新潮のYahoo転載記事は、今回の問題の背景を探るヒントになりそうです。ちなみに、検討したシナリオは全部で24ということです。https://news.yahoo.co.jp/articles/6b1a89119afcfa0ef4be224b38d70026eb83c5db

「中国が台湾占領に成功するのは二つのシナリオにとどまりました。主に、米軍の日本への事前展開が遅れたり、または、日本の自衛隊が米軍に対する後方支援や米軍防護の軍事的な支援を行わなかった場合など、特定の条件が重なったケースです」(元陸上幕僚長の岩田清文氏)

つまり『日本の自衛隊が米軍に対する後方支援や米軍防護の軍事的な支援を行わなかった場合』というのが中国が台湾占領に成功する一つの可能性であり、これを求めて中国サイドが必死に動いたのではないでしょうか。

そういう背景を考えれば、公明党の連立離脱に中国の働きかけがあったことも納得がいきます。当時は、玉木氏を総理にする前提で動いていた野党の連携がありましたから、ここに公明党が加われば野党連立政権の目もあり、上の条件が成立する可能性が高まる。また岡田氏のしつこい国会質疑も、「台湾有事は存立危機事態になり得ず」ないし、「台湾有事は日本有事ではない」といった高市総理の答弁を引き出せれば、中国サイドの安心材料になり、台湾進攻に踏み切るきっかけとなり得た。

もしそうした背景があったとしたら、日本は薄氷を踏むような状況を乗り越えて、中国の台湾進攻を回避している。戦争回避に対する高市氏の功績は極めて大であったといえるでしょう。


返信が付いております。

野口修司

ご指摘を感謝申し上げます。問題は小生が10年は指摘しているように、トランプ米国が有事に日本防衛に動かない可能性です。自国を自国で守れない日本。だが国民の多くはいまだに平和ボケ、9条掲げて、戦争しないと言えば、過去70数年の平和が維持できると思い込んでいる。答えは1つではない。国民が一刻も早く議論をするべきです。


瀬尾 雄三

野口修司さん

> 問題は小生が10年は指摘しているように、トランプ米国が有事に日本防衛に動かない可能性です。

中国の台湾進攻、あるいは日本侵攻に対して米国が動かない可能性は低いのではないかと、私は思っております。もちろんその可能性がゼロではないところが怖いのですが。G2なんていうトランプ氏の発言もありましたから、この心配も、理由がないわけではありません。まあ、「米中二極体制」などという言葉は、根拠がない様子ですが。

米国にとって、太平洋を挟んで中国と直接向かい合うことは、悪夢ではないでしょうか。中国の夢は、東西太平洋を米国と中国で分け合うというもの。これでは、南太平洋の島々や、インド洋からアフリカへの米国の軍事的影響力が潰えてしまいます。

上でご紹介しました中国の台湾進攻成功シナリオは、24ケースのうちの2ケースだけということで、現状の軍事力バランス下では、中国勝利の可能性は低い。ここで中国が敗れますと、折から行き詰り気味の中国経済の破綻や、国民の不満爆発による習近平主席失脚の可能性もあります。台湾に侵攻する以上、勝利が見えていなくてはいけないのですね。

だから我が国がなすべきことは、中国の台湾進攻が高くつくということをきちんと示すこと。存立危機事態の可能性を否定しないことはもちろん、熊本に配備すれば台湾海峡を射程におさめる12式地対艦誘導弾能力向上型の配備を急ぐ必要もあるでしょう。備えあれば患いなしです。早苗だけじゃ足りません。


(12/16追記)12/16付けの文春オンライン記事「高市首相は“聞かれすぎた被害者”なのか…「質問したほうが悪い」という擁護論の危うさ」に、次のような一節がありました。

岡田氏は質問通告で「高市首相は昨年9月の総裁選の際に中国による台湾の海上封鎖が存立危機事態になるかもしれない旨の発言をしているが」と高市氏の過去の発言を前提に尋ねていた。  これまでのような一人の議員としての立場ではなく、首相になってからも同じことを言うのか?との確認をしているように読める。もっと言えば、首相になったからには「そうではないという答弁をもらうため」という狙いがあったのだろう。※こうした質問意図があったことは岡田氏はTBSラジオ『荻上チキ・Session』でも述べている(12月3日)。

この国会質問を行った岡田氏の意図は「そう(中国による台湾の海上封鎖が存立危機事態になるかもしれない)ではないという答弁をもらうため」であったというのですね。

でもここは、もう一歩の掘り下げが欲しいところでした。「なぜその答弁が欲しかったのですか」という、いわば「動機」が欲しいのですね。そして、その中に、周辺諸国を安心させるため、といった理由も含まれていたことは、十分にあり得るし、このベースに3月の中国要人との会話があったとしても不思議はない。むしろ、そういう背景があってのこの質問、と考えるのが普通のことであるように、私には思えます。

一方、高市答弁を中国サイドでは問題としているのですが、論理的には高市答弁は従来の日本の立場を何ら変更したものでもない。ただ、「ノーコメント」と「可能性の肯定」では、後者がより「高い可能性があるとのイメージを与えるため、ここにフォーカスしての批判はあり得るわけですね。でも、「ノーコメント」は可能性を否定してはおらず、可能性が保たれていることに変わりはないのですね。

一方、岡田氏の期待した答弁の問題点ですが、「なるかもしれない」の否定は「ならない」であり、前者が曖昧であるのに対して、後者は曖昧さを排除した、確定的な情報であることに注意しなくてはいけません。そして、中国の台湾進攻の成否を決める一つの重要な要因が、台湾有事に際しての日本の米軍への協力の在り方であるとなりますと、台湾有事に対する日本の協力の否定は、中国サイドにしてみれば、台湾進攻を大いに勇気づける要因となる、極めて危険な行為であったというしかありません。

今回の国会質疑に関しては、高市総理の適切な答弁により、中国サイドを勇気づけるような事態は避けることができております。だからこその、中国側の極端ともいえる反応であるようにも思えるのですが、その事実は逆に、岡田質問に対する中国側の働きかけの存在を強く印象付けるものでもあります。今後の展開次第では、これらは重大犯罪を構成する可能性すらあります。ここは、各種の証拠をきちんと保存するなど、将来の捜査を想定した適切な手を打っておく必要があるでしょう。

もう一つ言えることは、中国のこの反応は、台湾進攻作戦が現在進行中であることの裏返しであるかもしれません。高市氏の威勢のよさは口だけ、などと、3月の中国側との会談の席上で岡田氏が安請け合いをして、これに中国サイドが大いに期待した場合、今回の高市答弁は大いに期待外れであり、その分怒りも大きい。しかし、ここで怒られても困ってしまうわけで、このような事情がもしあったとしても、その場合に悪いのは変な期待をさせた岡田氏だというしかありません。

また、今回の一連のやり取りは、台湾進攻作戦が進行中である可能性を高めており、これを阻止することがアジアの平和には最も重要です。そのためには、この作戦が失敗するとの予想を中国側が抱くこと。そのポイントは、米軍の適切なアジア展開と、日本のこれに対する協力体制であり、これが整っていることを、中国サイドにも認識していただく必要があります。

そこまで考えますと、今回の高市答弁は、極めてタイムリーであり、この時点で必要不可欠な発言であったように私には思えます。そして、逆説的ではありますが、これが有効であったことを、中国側の反応が雄弁に物語っている、そのような背景が、私の目には見えるのですが、さて、実際のところはどうでしょうか。