岡本裕明氏の2/4付けアゴラ記事「リニア山梨駅着工から考える街づくりの課題」へのコメントです。
乗客からするとリニアですっ飛んできても駅を降りてからの接続バスがたまにしか来なくてそこで時間をロスすると「何のために高い金を払ったのか?」になります。よって甲府駅にいかにスムーズに早く到着させるか、それこそ格安でリニアの到着に合わせてどんどん便を出すしかないでしょう。また甲府駅はただの駅であってこのあたりに来る人は石和温泉、ブドウ狩り、富士山あたりが目当てなのでそこへのアクセスをどれだけつけられるかが勝負となります。
ここはしかし、ちょっとお金を掛けたら大化けするかもしれませんよ。まず、JR身延線小井川駅まで新交通システムなどを整備することになると思いますが、これをちょっとだけ(トータル30kmほど)伸ばして富士急河口湖駅に接続する。これ、インバウンドが殺到するゴールデンルートになりそうです。
このルートを河口湖駅からたどりますと、河口湖と西湖の間を北上して西湖の北岸を西に進む。この部分を少し高い見晴らしの良いルートとすれば、西湖の向こうに富士山が見える。サイコーです。
次いで山を越えた先が上九温泉駅(仮称)、上九一色(かみくいしき)温泉とした方が良いかもしれません。ここ、あの上九一色村だったのですが、オウムのサティアンとはかなり離れております。この村名、悪いイメージがあると嫌われたのですが、悪名は無名に勝る。金嬉老事件で一躍有名になって観光客が殺到した寸又峡温泉の二匹目のドジョウを狙いましょう。商売、商売、です。
あとは、リニア山梨駅の近くにある甲府刑務所ですが、駅前に刑務所というのも変ですから、「ホテル甲府刑務所」に改装する。富士山を堪能し、上九一色温泉に浸かり、甲府刑務所に一泊して品川に帰る。これって、日本観光のゴールデンルートになるのではないでしょうか。
(以下はブログ限定です。)ちょっとルートをGoogleMapに描いてみました。上の記述と少し変えて、東側の起点は富士山駅とし、河口湖は北側を周回するルートとします。こうしますと、富士山駅から西湖まで、ほとんど左側に富士山が見えることになるのですね。車両も、全席南側を向く階段型の座席とすれば、どの席からも真正面に富士山が見えることになります。

西湖西端から上九一色温泉駅までは、21.5km地点までがほぼトンネルで、駅を過ぎた24km地点からふもとまでもトンネルが多くなります。上九一色温泉などと書きましたが、まだ温泉施設は一軒しかなく、この先旅館を整備する必要があります。これは、お客さんを見ながらじわじわやればよいでしょう。
山を下りた31km地点には、古墳や考古博物館、丘陵公園などがあります。リニア山梨駅は33km地点、JR身延線小井川駅は36.3km地点となり、ここが終点となります。身延線は現在単線で本数も限られているのですが、少なくとも小井川‐甲府間は複線とし、快速電車を多く走らせる必要があるでしょう。複線区間を身延駅まで延長できれば、こちらも観光名所が加わるのではないかと思います。
予算は、ゆりかもめの二倍ほどの路線長ですから、単純に計算すると4,000億円前後になるのですが、レンインボーブリッジのような高コストの部分がなく、もう少し安いのではないかと思います。さて、これだけの経費をかけて、採算が取れますでしょうか。そこが問題です。(湘南モノレールの建設コストは10億円/kmとのデータもあり、これなら36kmで360億円と一桁下がります。こちらは単線で、懸垂型のモノレールなのですね。)
(以下、2/7追記)上で想定した東側の端となる富士山駅からは、富士急行線が大月まで伸びており、新宿方面に直行する特急も設定されているのですが、大月は甲府を通る中央線ということで、ちょっと面白みに欠けます。そこで、さらに25km少々延長して、山中湖、富士スピードウエイ経由で御殿場まで通すようにしたらどうでしょうか。
御殿場は、国府津と沼津を結ぶ御殿場線の途中駅で、小田急の特急ロマンスカーも乗り入れており、2時間弱で新宿に行くことができます。ただロマンスカーは本数も少ないことから御殿場線の利用が中心になると思われるのですが、御殿場線は単線で、接続先も新幹線の停まらない沼津と、面白くありません。
御殿場線は、元々、東海道線の一部として建設され、当初は複線でしたが、丹那トンネル開通後は東海道線が丹那トンネル経由に移動し、これに伴って線路を一部撤去して単線としております。ただし線路用地は複線のまま残されており、複線化も比較的容易に行えます。そこで、下土狩-御殿場間を複線とし、下土狩から東にカーブして三島に至る短い区間を複線で新設し、御殿場線を新幹線の停まります三島駅発着とするのが良いのではないかと思います。下土狩‐沼津間は、従来通りの単線運転を継続すればよいのではないでしょうか。
御殿場線の御殿場以南は、工場も多く、観光客以外の利用も多く見込まれるはずです。また、この部分の路線は車窓から富士山が大きく見え、観光客にも歓迎される路線と思われます。
三島から御殿場までを、複線化した御殿場線で20分ほどで移動し、そこから新交通システムにより、富士スピードウエイ、山中湖、河口湖、西湖を経て、外輪山を抜け、上九一色温泉を経由してリニア山梨に向かうわけですね。御殿場以降リニア山梨までの全長が60km、真ん中が河口湖駅です。所要時間は、速度にもよりますが、1~2時間程度と思われます。
3kmほど遠回りになりますが、御殿場と富士スピードウェイの間に、プレミアム・アウトレットを回るのもよいかもしれません。御殿場と足柄の間のプレミアム・アウトレットに近いところに「北御殿場駅(仮称)」を設け、ここを新交通システムの始発駅にするのも良さそうです。乗換駅では、乗客が電車から降りますので、買い物や食事をしようかという話になるのですが、その目の前に巨大なアウトレットモールがあるというのは、なかなか面白そうです。
北御殿場駅を新設する場合、この周辺はほとんど開発されておりませんので、周辺をリゾート地帯として開発する手もあります。駅前にホテル群を準備すれば、富士山観光のメッカとなるのではないでしょうか。ここはまた、トヨタの研究施設がある御殿場線岩波駅とトヨタ子会社が運営する富士スピードウェイの中間であり、このリゾート開発にはトヨタも興味を示すのではないかとも思います。
いずれにいたしましても、東海道線三島駅から御殿場線に乗り換えて、御殿場から新交通システムでリニア山梨駅に回るルートは、京都、大阪といった関西の観光地を巡った後、富士山観光をして、リニアで品川まで帰るという、日本の魅力盛りだくさんの効率的な観光ルートとなりそうです。
また、他線との接続も、三島で東海道線、新幹線、伊豆箱根鉄道駿豆線に接続し、御殿場で御殿場線、小田急ロマンスカーに接続する。富士山では富士急行線に接続し、中央線経由の特急も設定されている。さらに、リニア山梨で中央リニアに接続した後、小井川で身延線に接続しており、これら他線との連携にも便利な路線となるのではないかと思います。
こうしてみますと、リニア山梨駅、そうそう捨てたものでもなさそうです。