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あのビッグローブで不祥事露見

アゴラ編集部の2/7付けアゴラ記事「KDDI子会社で2460億円の架空取引が繰り返され330億円が流出」へのコメント(ウエブ限定)です。


今回の事件

上記エントリーが伝える事件の概要は以下の通りです。

KDDIグループの子会社ビッグローブとその子会社ジー・プランで、実体のない広告取引を使った巨額の架空循環取引が明らかになった。売上と利益が大規模に水増しされ、実際に資金も外部へ流出しており、内部統制とガバナンスの深刻な欠陥が浮き彫りになっている。

・架空取引による売上取消は3期合計で約2460億円に達し、営業利益は約500億円が過大に計上されていた。

・手数料などの名目で約330億円が外部に流出した疑いがある。

・存在しない広告主

・媒体を使った循環取引という典型的な手口だった。不正は単発ではなく、数年間にわたる構造的な問題とみられる。

前回の事件

この事件自体は、よくある不祥事なのですが、表題を「あのビッグローブで」といたしましたのは、この会社、極めて小規模ではありますが、私相手にも不祥事を働いていたのですね。まあ、これは私の認識によれば、という形容詞をつける必要があるかもしれませんが。

事件の概要は、2006年3月5日付の本ブログ「BIGLOVEと法令の遵守(コンプライアンス)」と、同じく2006年3月12日付の本ブログ「BIGLOBEによる誤請求問題、その後の顛末」に記しました。特に後者には、2018年11月4日に追記を行っております。

私とビッグローブ間に起こりました問題は、私が大昔、NECが主催するPC-VANの従量制PC通信サービスに加入していたところ、いつの間にかこれがBIGLOBEの定額制インターネット接続サービスに変更になってしまった、という問題なのですね。

普通なら、何らかのアクションをこちらからとって契約変更となるべきところ、「申し出でのない場合は契約変更に受諾したとみなす」という無茶苦茶なやり方をされてしまった。向こうはアナウンスしたというのですが、インターネットが一般化してすでに利用価値のなくなったPC通信でいくらアナウンスされても、こちらは全然見る機会がありません。手紙も送ったというのですが、宣伝みたいな手紙は、いちいち読んだりしない場合が多いのですね。

しかるべき対処とその後の展開

この時は、私が支払った「会費(=被害金額)」の返金に応じてもらって一件落着なのですが、他にも多くの被害者がいると想定されたことから、先方から顛末を記述した文書を出していただき、この経緯をネット上に公開するとともに、被害者を救済するといった適切な対処がなされない場合は、しかるべき対処をするという方針で臨んだのですね。

で、何らその先の進展がないことから、ネット上の警察への通報窓口に一連の経緯を記して送信したというわけです。この先の顛末も、当方には特に情報はなかったのですが、その後の流れを見ておりますと、この通報が何らかの形で影響したことをうかがわせる動きが出ております。これにつきましては、「その後の顛末」の追記部分に記したのですが、要所を記しますと次のようになります。

このエントリーを公開したのは、2006年3月12日のことでした。その後ほどなくして2006年7月3日にNECは自社の一部門でありましたBIGLOBEを子会社である「NECビッグローブ株式会社」に移行させました。

NECがこのような行動に出た理由はわかりませんが、大きなリスクを抱える部門を子会社化し、いざという時に切りやすくすることは良く行われており、あるいは、私の指摘がそのリスクとして認識されていたのかもしれません。

実は、「と、いうわけで、次のアクションに進もうと考えている」と上に書きましたこの「次のアクション」とは、警視庁に一連の顛末を通報することだったのですね。

警視庁には、オンラインの告発を受ける窓口がありましたので、ややこしい話も、結構、簡単に伝達することができます。

ありそうなことは、警視庁からNECに問い合わせがいくということで、これに対してNECがどう対応したかはわかりませんが、不祥事を嫌う大企業が何らかの対応をすることは充分にありそうなことであると考えておりました。

BIGLOBE子会社化のニュースに接した時の私は「さては」と思い、どんなニュースが続くか注意していたのですが、なんのニュースも出てまいりませんでした。

本来あるべき対応は、PC-VANから勝手にBIGLOBEに契約を変更された非稼働会員の全員に会費を返金することでしょう。恐らくその総額は数億から数十億円に上るはずで、これを行えば何らかのニュースになっていたはずです。

つまり、ここまでの対応は、おそらくなされなかったのでしょう。

その後、2014年3月末にNECは同子会社の株式を日本産業パートナーズに全量売却し、NECとの関係を絶ちました。さらに、2017年1月末にはKDDIが全株式を取得し、BIGLOBEはKDDIのグループ会社となっております。

これらの過程で、旧PC-VANの従量制会員の扱いがどのようになっているかは不明です。一応私はニュースに注意しておりましたが、この件が問題になったというようなこともなく、会費を払い戻したというニュースも耳にしておりません。

もちろん、KDDIが、このような「非稼働会員」から現在に到るまで毎月の会費をとり続けているようなことは、ありえないであろうとは思いますが、、、

関係は

これら二つの事件は、舞台がビッグローブというところは共通しているのですが、事件自体は独立したものでしょう。でも、私には、これらが完全に無関係のものであるようには見えないのですね。つまり、企業文化と言いますか、その場の「常識」と言いますか、ルーズな職場では、いろいろな面でルーズな処理が行われてしまう、ということなのですね。

これ、一部の原発のサイトでもルーズな処理が目立ったことがあるのですが、多くの場合は、いい加減なことをやっていても大した問題にはならない。だから、まじめにやっている人間が馬鹿のように見える。事実、馬鹿にされたりもするのですね。でも、たまに大問題になることがある。小さい不正を見逃しているうちに、だんだん感覚がマヒしてきて、いずれは大きな不正も見逃すようになる。

一つ一つは小さいけれど、全部まとまると巨額になることだってあるのですね。上のPCVANの問題も、一人当たりの不正金額は1万円少々なのですが、PCVANの会員数が200万人であったことを考えると、下手をすると数十億の不正事件に発展することだってあり得る。数十億と数百億、その間には、小さな壁しかありません。前者を通す人なら、後者だって通してしまう。そういうことが起こったように、私には思えました。

組織改編に問題はなかったか

当初私がこの問題を指摘した直後に、NECはビッグローブを本体直属ではなく、子会社にしたのですね。これ、危ない会社に対してよくやる手で、赤字がかさんだ部門を別会社にして、いよいよ事業継続が困難になった場合には、この会社を清算してしまう。あるいは、他社に安価に売り飛ばすという手もあります。またそれが、違法行為であるなら、その会社の経営陣に全責任を負わせればよい。いわゆるトカゲのしっぽ切りですね。NECのビッグローブ切り離しにも、何かそのようなにおいを感じました。これは、少々ずるいやり方ですが、反社会的行為とまでは言えないでしょう。

しかし、これを日本産業パートナーズに売却したのはどうでしょうか。これがもし、ビッグローブが問題を抱えていることを知りつつ、これを隠して売却していたら問題になる。同じことは、日本産業パートナーズからKDDIへの事業譲渡の際にも問題になるのですね。

まあ、今回は、PCVANの会費問題ではない様子なので、これが直接問題になることはないと思います。でも、全く関係がなかったかと言われるとどうかわからない。私には、この辺りにグレーなものを感じるし、おそらくは、意識の中にそのような認識を抱く従業員があっても不思議はない。そうした感覚、文化、空気といったものが、不正を招く遠因になったのではないか。私には、そのような印象を受ける今回の事件でした。

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